2017年11月09日
税制改正大綱における経済産業省の要望事項
だいぶ寒くなって来ました。朝に弱い自分としては布団から出るのに、これから毎日厳しい戦いになります…
10月31日、日経のコラム「大機小機」に「日本の財政破綻は考えられない」とありました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO22895020Q7A031C1EN2000/
ふと不思議に思いました。コラムによれば日本は経常黒字国であり、外貨準備も世界2位、国債の94%は国内で消化されている、等、様々な理由からデフォルトはあり得ない、との事です。財政破綻の議論には様々なものがありますが、専門家の説明を聞くと、何となくそうなのかな、とも思うのですが、GDPの2.3倍の借金を抱え、さらに毎年毎年あたり前の様に税収以上の予算編成が行われている現状を目の当たりにしていると、本当に財政破綻なんて考えられないのかな、と、何となく不思議に思いました。
余談ついでですが、マイナス金利政策、これもいろいろと専門家の解説を読めば金融政策としては有効なのかな、とも思うのですが、お金を借りると利子が受け取れる、やっぱり何となく不思議に思います。
何となく納得しているけど、自分では実は不思議に思っている事が結構たくさんあります。
航空機もそう、あの鉄の塊が空を飛ぶ(仮に鉄ではなくカーボンの塊だったとしても)、100トンを超える物体が空を飛ぶなんて。揚力が発生するように設計された翼によって、航空機は宙に浮く、原理としては納得出来ますが、やっぱり不思議です、今でも飛行機に乗ると落ち着きません(航空機リース事業には魅力を感じますが)。
AI、プログラムされた通り作動するのがコンピュータだと思っておりましたが、人工知能は自ら学習し人知を超えた知識を手に入れ続けています。人工知能を作った人にも、その行き着く先は分かりません。不思議過ぎます。
量子コンピュータ、スーパーコンピュータでも数千年かかる計算を数秒で行うケタ違いの能力を有す次世代のコンピュータ、0と1が重ね合わさっている状態がその原理だと言います。0でもあり1でもある、また、0でもなければ1でもない、もはや不思議を通り越して宗教的な世界観すら感じます。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO18158440X20C17A6000000/
将来的にはAI搭載量子コンピュータのノートパソコンを持ち歩いているかも知れませんね。
さて、長くなった余談をそろそろ終えて本題に入りたいと思います。
毎年12月に閣議決定される来年度の税制改正大綱に向けて、各省庁が税制改正に関する要望を出しております。
経済産業省の要望事項に、「事業承継税制を抜本的に拡充」とあります。事業承継税制は、経営承継の一層の円滑化により経営者の高齢化や後継者不足を原因とした廃業を減少させることで、技術力やサービス等を含む優良な経営資源を有する中小企業の事業の継続に繋げ、ひいては地域経済の活力維持・発展を実現する事を目的としております。
今回の経済産業省の事業承継税制に関する要望事項は下記の通りです。
中小企業経営者の高齢化が進んでおり、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳(平均引退年齢)に達するにも関わらず、半数以上が事業承継の準備を追えていない。現状を放置すると中小企業の廃業の増加により地域経済に深刻な打撃を与える恐れ。
このような現状を踏まえ、以下の要件等、あらゆる要件を見直すことを含め、事業承継税制を抜本的に拡充する。
①雇用要件
②納税猶予制度
③対象となる発行済議決権株式総数の上限
④対象者
との事です。
事業承継税制は度重なる改正が行われ、利用件数も増加傾向にありますが、認定件数は年間数百件に止まり、まだまだ改正の余地はあると思われます。
今回の要望事項においては、更なる要件の緩和に加えて、「③対象となる発行済議決権株式数の上限」とあり、つまり現在2/3までとなっている議決権の上限緩和によって経済的な効果についても拡充が図られる事が想定されます。他にもM&Aやファンド資金の活用、従業員への承継など、様々な形態の事業承継についても税負担の軽減措置が要望されております。大いに期待したいところです。
その他の主な要望には、所得拡大税制の拡充、M&Aやファンド活用等の様々な形態の事業承継を支援する為の税負担の軽減措置、第4次産業革命下で増大し続ける膨大なデータ活用の為のIT投資強化等、注視しておきたい要望がたくさんございます。
(平成30年度税制改正に関する経済産業省要望【概要】)
http://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2018/zeisei_r/pdf/1_02.pdf
日本では様々な理由で事業を承継できずに多くの黒字企業が廃業しております、この状況の解決は待ったなしです。毎年新たな税制改正や制度創設がなされております。選択肢が広がる事は良い事だと思います。
使い勝手の良いもの、現実的には活用が難しいもの、併用出来るもの、出来ないもの、法人税に対応するもの、所得税に対応するもの、相続税に対応するもの、制度も様々です。最適な選択を行い、より多くの企業が効率よく事業の継続・承継を行い、また、新たな付加価値の創出が出来るようなれば良いなと思います。その為に弊社も努力していきたいと思います。
将来、AIを搭載した量子コンピュータが、その天文学的な演算能力をもって、毎年の税制改正大綱を学習し、最適な選択をしてくれるようになるでしょうか?はたまたAIが人には思いもよらない税制を作り始めるでしょうか?AIが税制を作り、AIが最適な税制を選択し、AIにより税務調査が行われる、こんな不思議な時代が来るのでしょうか?不思議な事は既にたくさん実現しております、意外と早くこんな時代が来るかも知れませんね。
弊社東京支店の窓から見える建築中の「東京ミッドタウン日比谷」です。どうやらロゴマークも決まったようです。
「東京ミッドタウン日比谷」のロゴマークはこちらです↓
ちなみに弊社グループのロゴマークと似ているのでお間違えのない様にお気を付けください。
大谷桂一