2019年08月07日
【アメリカ不動産投資】バッファロー(ナイアガラエリア)不動産の実態
先日、久々にニューヨークに行ってきましたが、その際に1日だけあった自由行動日を利用してナイアガラ観光に行ってきました。ナイアガラは、ナイアガラ瀑布を見てみたいということもあったのですが、ナイアガラエリアの不動産情報に直接触れてみるということが個人的な目的でした。
ニューヨークからナイアガラに行くには、いくつかの選択肢があるようですが、今回は、ニューヨークのJFK空港からニューヨーク州バッファローのバッファロー国際空港へ移動。そこから陸路、国境を越えてカナダ側のナイアガラへ入っていきました。
付いてくれたガイドが色々と教えてくれました。帰国して調べてみると、ガイドが言っていた通りではない情報もあるのですが、大枠は外れていません。今回は、このガイドから得た情報を皆様と共有したいと思います。ということで、誤った情報もあるかもしれませんが、そこはお見逃しを…。
ニューヨークから移動し、まずバッファローに到着します。バッファローのオブジェなどが目に入ります。ところが、このバッファローという地名、動物のバッファローとは関係ないのだとか。バッファローの地名はインディアンの「美しい川」が語源なのだそうです(諸説あるようです)。
バッファローは、戦後にロックフェラーが石油産業を当地に展開することにより繁栄。政府も後押ししたようです。巨大な石油化学コンビナートが作られました。当地が石油産業の拠点として注目されたのは、ロックフェラーがカナダのマーケットまでを見据えたためだそうです。石油産業の発展とともに、人口も増加したそうです。
ところが、しばらくするとテキサスで油田が発見されたそうです。ロックフェラーも徐々にバッファローからテキサスへ石油産業を移動。バッファローの人口は減少。バッファローの人口は30万人前後で、この30年間人口が大きく変わらないそうです。
当時は、産業廃棄物に対する規制もなく、石油産業で発生した産業廃棄物をそのまま積み上げ、その上から土をかぶせるという処理だったそうです。道路を走っていると、小山がたくさん見えますが、その小山のように見えるのは過去の産業廃棄物を積み上げた山なのだとか。今もそのまま放置されています。
石油産業の施設もそのまま放置されています。ナイアガラ観光のイメージに良くないため、道路の両脇は堤防が築かれ、車窓から荒廃した施設を見えにくくしています。石油タンクも使っていませんが、年に数個ずつペンキを塗りなおして見た目だけを何とか維持しています。実際には、廃墟と化している工場群が広がります。
ガイドによれば、バッファローは治安が悪いとのこと。全米第12位の治安の悪さ(直近は違ったデータがあります)。1日に五人が殺されるそうです。
最も治安が悪いのはデトロイト。日本人に人気のロサンゼルスは7位。ロサンゼルスカウンティーというくくりで言うと、1日に十人くらい殺されるそうです。マジっすか?と思わず唸ってしまいます。
ナイアガラ瀑布は、アメリカ滝とカナダ滝があります。「アメリカ滝」というので、アメリカ側でも雄大な滝が見れるのかと思うと、アメリカ側からは滝の全景を見ることができません。バッファローはナイアガラがあるのに、全く人気のない観光地になっています。
バッファローのホテルは、夏の間だけ営業し、秋から春にかけては営業していません。街中の住宅は空室率70%!なかには、空室率100%という一画もあり、町の廃墟化が進んでいます。治安も悪く、夜は危険度が高いそうです。あまりに荒廃が進むのでカジノを誘致できる特例が設けられましたが、まったく人気がありません。
冒頭にも書きましたが、今回、ナイアガラに行ってみようと思ったのは、ナイアガラの滝を一度見てみたいということもあったのですが、ナイアガラの不動産事情を直に確認してみたいということが目的でした。ナイアガラの不動産は、人気があり、価格も高く維持され、さらに上昇していると聞いていましたので、実際に見に行ってみたかったのです。
ところが、我々にとってナイアガラの入り口であるバッファローは、荒廃した街です。大丈夫か?と不安に思えてきました。
陸路、国境を越えて、カナダに入りました。すぐにナイアガラの滝の全景が見えてきます。我々は、朝4時にホテルロビーに集合し、朝一番の便でニューヨークからバッファローに移動、午前中にナイアガラに到着しました。
カナダ側に渡ると、観光地化が進んでおり、ホテルが立ち並び、店舗が立ち並ぶエリアやちょとした遊園地もあります。街はきれいに整備されています。午前中から多数の観光客が詰めかけていましたが、お昼過ぎからさらに混雑するとのこと。カナダ側のナイアガラエリアだけで年間2,000万人以上の観光客が押し寄せます。
ナイアガラの街から、さらにナイアガラ・オン・ザ・レイクという街に向かいました。ナイアガラオンザレイクはオンタリオ湖に面するきれいな街で、観光地化しています。
家屋はどれも築50年は過ぎています。築100年程度の建物が多く、築120年~130年の建物も珍しくありません。中には築200年程度の物件もあります。日本の建物は建築後35年で価値ゼロ。カナダであれば、2~3倍の価値になるのだとか。ガイドは日本人(現在はカナダ国籍)ですが、カナダに住んでいると、日本の建物がなぜ価値ゼロになるのか理解できないそうです。
建物が長く使用される理由は、①地震が少ない、②湿気が少ない、③酸性雨が降らない、といったことが考えられるそうです。地震がない、湿気が少ない、という理由はアメリカでもよく聞きますが、「酸性雨が降らない」という理由は、初めて聞きました。
ナイアガラオンザレイクの人口は10,000人程度だそうです。そんな街で、戸建ての物件は1.5ミリオンカナダドル程度が中央値のようです。2ミリオンカナダドルの物件も珍しくありません。
オンタリオ湖対岸のトロントでは、人口密度の高まりから物件価格が上昇。48㎡ほどの物件(日本でいうマンション)が1.5ミリオンカナダドルと高騰しています。従って、対岸のナイアガラエリアに物件を求める需要があるのだとか。ナイアガラエリアであれば、3~400,000カナダドルから物件を探すことができるそうです。
カナダではなぜ不動産価格が高いのでしょうか。あるいは上昇するのでしょうか。
カナダの面積は日本の28倍ですが、人口は3,000万人。この数字を聞くと、土地が余っているという印象を受けますが、人が暮らせるのは、アメリカとの国境線から600㎞北まで。それより北は、森と湖と岩と山だけなのだそうです。
人が住めるエリアが限定的であり、家を建てることができるエリアがさらに限定されています。家を建てることができるエリアを増やす許可が出にくいのだそうです。
これに対して、カナダへ移住したいニーズは強いものがあるのだそうです。特にアメリカの北部からの移住ニーズは強いのだそうです。これは、安全を求めてのものです。カナダの国境管理により、銃と麻薬の規制が効いているのだそうです。
今、日本人の投資家にアメリカの不動産が人気ですが、アメリカならどこでも良いわけではないということが改めてよく分かりました。そして、同じナイアガラエリアなのに、カナダ側のナイアガラフォールズ、ナイアガラオンザレイクという街は、財産価値が維持向上できるよう適切な管理がなされています。ちょっとした違いが、大きな財産価値の違いをもたらすといった不動産という投資対象の奥深さ。本当に面白いですね。
最後に、昨年2度、アメリカに出張した際に、アメリカでは、トランプ大統領の支持者でなくてもトランプ大統領のことを肯定的にとらえている人が一定数いると感じました。今回のアメリカ出張で同様のことを感じました。
アメリカの大きな悩みは銃と麻薬。メキシコから入る麻薬を取り締まることができれば、全米に出回る麻薬の50%を規制することができるのだそうです。この麻薬規制という目的で、トランプ大統領が主張するメキシコとの国境沿いの壁には一定の意味や支持があるのだそうです。
トランプ大統領の政策は、アメリカの大きな悩みの銃と麻薬のうちの一つを大きく改善させることになり、実現すれば、トランプ大統領は歴史に名を遺す大統領になれるのだそうです。
外から見ているだけでは分からないことばかりです。