2021年10月16日
【令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金】についてわかりやすく説明します

Contents
『はじめに』~3次公募の形をとらなかった「事業承継・引継ぎ補助金」
「後継者難倒産」が9年間で最多となった令和2年上半期
東京商工リサーチが10月8日(金)に公開したリサーチ記事によると、2021年度上半期(4~9月)の『後継者難』倒産は181件(前年同期比4.6%増)と、2013年以降の9年間で最多を記録したといいます。
また、倒産全体(2937件)に占める構成比は6.1%で前年同期(4.4%)を1.7ポイント上回り、年度上半期で最高となりました。
負債額別では、1億円未満が128件と小規模倒産中心ですが、1億円以上5億円未満や、5億円以上10億円未満も4年ぶりに増加しているなど、小・零細企業のみならず中堅企業でも事業承継の問題が深刻になりつつあることがわかっています。
(東京商工リサーチ:後継者難倒産が9年間で最多の181件、事業承継が急務に【2021年度上半期】)
令和3年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金公募要領が公表
このように事業承継の検討が急務となる中で、事業承継・引継ぎ補助金3回目の公募となる「令和3年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」が9月17日に公表されました。
令和2年度3次補正予算分の公募と比べると「類型」と「補助金額」などが変更されており、一次公募、二次公募に続く三次公募を待っていた人たちにとっては、少し戸惑いがあったかもしれません。
しかし「令和3年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」が、事業承継やM&Aを契機として経営革新などを行う中小企業者およびM&Aによる経営資源の引継ぎを行う中小企業者に対して、その取り組みにかかる経費の一部を補助することで新陳代謝を加速し、日本経済の活性化を図るための事業であるという目的に変わりはありません。
三次公募への申請を検討されていた方はぜひ最新情報を確認していきましょう。
『令和2年度「事業・引継ぎ補助金」』のふりかえり
令和2年度「事業・引継ぎ補助金」(専門家活用型)はM&Aで利用可能な高い採択率の補助金だった
まずは前回までの「事業・引継ぎ補助金」がどんなものだったのか振り返ってみましょう。
『令和2年度「事業承継・引継ぎ補助金」(専門家活用型)』は、ファイナンシャルアドバイザリー・M&A仲介専門家に補助事業期間内に契約および支払った、事業再編·事業統合を行う際のM&A専門家の費用等が補助対象経費の対象となります。
昨年は令和2年度第3次補正予算として、6月から8月にかけて一次公募、二次公募と公募を2回行っています。
双方ともに採択率が高く、80パーセント前後が採択される結果となりました。
◇一次公募結果
公募期間:2021年6月11日~7月12日
採択件数:346件(申請数:412件、採択率:83.9パーセント)◇二次公募結果
公募期間:2021年7月13日~8月13日
採択件数:330件(申請数:419件、採択率:78.7パーセント)
公募概要の詳細は『みどり財産コンサルタンツ 令和2年度「事業承継・引継ぎ補助金」一次公募・二次公募の概要と第三次公募の可能性』をご確認ください。
「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」での変更点はここ!
減額された補助上限 400万→250万へ(ともに廃業付きの場合+200万)
ところが9月30日から公募が始まった「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」は、前回とは補助率や補助上限額などの点が異なっていました。
「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」は、事業承継やM&Aをきっかけに事業再構築および販路開拓にチャレンジするための費用を補助する「経営革新」と、M&Aによって経営資源の引継ぎをするため専門家の活用費を補助する「専門家活用」の2類型で、いずれも補助率は補助対象経費の2分の1以内。
上限は「経営革新」の経営者交代型が250万円、M&A型が500万円、「専門家活用」が250万円以内です。どれも廃業がともなう場合は、200万円が上載せされます(「専門家活用」は売り手のみ)。
「令和2年度 3次補正予算分 事業承継・引継ぎ補助金」の補助上限は400万(廃業をともなう場合は+200万円)でしたから、今回は補助上限が大きく減額されていることがわかりますね。
M&A支援機関登録制度に登録されているM&A仲介会社のみが対象に
また「専門家活用」では、補助金対象となる専門家にルールが設けられました。「M&A支援機関登録制度」に登録されているファイナンシャルアドバイザーおよびM&A仲介業者への依頼のみ補助対象経費とすることになったのです。
中小企業庁は2021年8月、M&A支援機関の信頼感の醸成を目指して「M&A支援機関登録制度」を創設。令和3年8月24日(火)から令和3年9月21日(火)までの期間で公募を実施しました。これによって認定されたファイナンシャルアドバイザーおよび仲介業者は、全2253件。
このうち法人は1684件、個人事業主は569件。種類別で見てみると、M&A専門業者(仲介)が539件、M&A専門業者(FA)が391件、税理士が505件、公認会計士が231件、地方銀行が75件、信用金庫・信用組合が50件という内訳になっています。
中小企業庁では、これらの検索が可能なデータベースを、支援機関登録制度事務局ホームページにおいて、10月上中旬頃を目途に公表するとのこと。
みどり財産コンサルタンツも「M&A支援機関」のひとつであり、以下のリストの151番目に名を連ねています。
登録ファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者一覧(最終公表)
依頼を考えている事業者が、このリストに入っているかどうかも要チェックです。
表明保証保険契約に係る保険料も対象に
その一方で、M&A当事者間で交わされる最終合意契約に規定される表明保証保険契約に係る保険料が補助の対象に入りました。
買い手手配の「表明保証保険に係る保険料」は買い手支援型の、売り手手配の「表明保証保険に係る保険料」は売り手支援型の補助対象となるそうです。
「新事業展開等要件」と「生産性向上要件」がなくなる
また要件の変更としては、『令和2年度「事業承継・引継ぎ補助金」』の「経営革新」で必要とされていた、経営革新の「新事業展開等要件」と「生産性向上要件」が求められなくなりました。ここがネックとなっていた企業にとっては朗報ですね。
申請は引き続き「電子申請(Jグランツ)」によるもの。取得まで2~3週間を要するGビズIDプライムアカウントが必要です。
すでに取得済みの方は、10月21日(木)に締め切られる「令和3年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」申請に向けて、準備を進めている最中でしょう。
・補助上限の減額
・「M&A支援機関登録制度」認定ファイナンシャルアドバイザーおよびM&A仲介業者への依頼のみ補助対象経費となること
・「表明保証保険に係る保険料」が補助対象になる
・経営革新の「新事業展開等要件」と「生産性向上要件」が無くなる
・事前着手が認められていない
以上の5点を大きな変更点として、覚えておいてくださいね。
『令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用の概要)』
主な概要はこれまでといっしょ あらためてポイントのみ解説!
上記の変更点をのぞく、「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」の主な概要は、「令和2年度 事業・引継ぎ補助金」と大きな変更はありません。主な概要は同様なので、前回までのポイントだけをあらためて説明していきます。
「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」は2つの類型に分かれる~「買い手支援型(Ⅰ型)」・「売り手支援型(Ⅱ型)」~
補助金の対象となる「経営資源引継ぎ」が「買い手支援型(Ⅰ型)」と「売り手支援型(Ⅱ型)」の2つの類型に分かれることが特徴です。
両者はそれぞれ、以下の要件を満たす必要があります。
◇「買い手支援型」の要件
・事業再編・事業統合にともない経営資源をゆずり受ける予定の中小企業等として、以下の全ての要件を満たすこと。
・事業再編・事業統合にともない経営資源をゆずり受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。
・事業再編・事業統合にともない経営資源をゆずり受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行う企業であること。
◇「売り手支援型」の要件
事業再編・事業統合にともない自社が有する経営資源をゆずり渡す予定の中小企業等であり、以下の全ての要件を満たすこと。
・地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行う企業であり、事業再編・事業統合によって、これらが第三者により継続されることが見込まれること。
補助対象者となるのはだれ?
補助の対象となるのは、前提として「経営資源引継ぎの要件」を満たしており、最終契約書の契約当事者となる中小企業者。
「売り手支援型(Ⅱ型)」の株式譲渡に関しては、株式譲渡にともなって異動する株式を発行した「経営資源引継ぎの要件」を満たす中小企業と、対象会社と共同申請した対象会社の議決権の過半数を有する株主が対象となります。
中小企業者等に含まれない方は以下です。
◼ 社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、組合(農業協同組合、生活協同組合、中小企業等協同組合法に基づく組合等)
◼ 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有される中小企業者等
◼ 交付申請時において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等
*1:「経営革新」のみ特定非営利活動法人も中小企業者等に該当する
「経営資源引継ぎの要件」ってなに?
補助事業期間中に、「経営資源をゆずり渡す者(=被承継者)」と「経営資源をゆずり受ける者(=承継者)」の間で、事業再編・事業統合が着手される、または実施される予定であること。もしくは廃業をともなう事業再編・事業統合が行われる予定であることが必要です。
ここで言う「着手」とは、専門家等との補助対象経費にかかる契約締結日を着手時点とし、補助事業期間内に当該契約が締結されること。
「実施される予定」とは、補助事業期間内の事業再編・事業統合に関する相手方との基本合意書または最終契約書の締結をさします。
また、補助対象事業となる経営資源引継ぎの形態は、以下のとおりです。
不動産業の場合は、原則として常時使用する従業員1 名以上の引継ぎが行われることが必須。不動産以外の業種であっても、1名以上の従業員の引継ぎが行われていない場合は要件を満たしていないと判断される可能性もあるので気をつけてください。
「申請不可」の事例も
「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」は、交付申請不可となるケースもあるので確認しておきましょう。
たとえば以下のように、M&A後に被承継者の議決権が過半数にならない場合や、すでに過半数の議決権を保有している会社をM&Aする場合などは、交付申請不可となります。
また、不動産売買を目的とするM&A(いわゆる不動産M&A)は対象外です。
区分整理も要チェック
また『経営資源引継ぎ』は、それぞれパターンによって区分整理がされています。
区分の詳細については多岐にわたるため「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」公式サイト内「経営資源引継ぎ形態別の申請類型/経営資源引継ぎ形態に係る区分整理」を確認してください。
ちなみにM&A後に被承継者の議決権が過半数にならない、またすでに過半数の議決権を保有している会社をM&Aするといったパターンでは、交付申請不可となる場合も。不動産売買を目的とするM&Aなども対象外となりますので注意しましょう。
「買い手」「売り手」双方による申請が可能
そして補助金の交付申請を行うのは、補助対象者および補助対象経費を負担する者、並びに補助対象経費に掛かる契約主体者となる者だとされています。
また、一つのM&Aの案件に対して、買い手側・売り手側双方による申請が可能です。
ただし、同一人物による複数の交付申請は不可です。原則1申請のみ。例外としては、売り手支援型(Ⅱ型)で、同一被承継者が複数の対象会社を異なる承継者に引き継ぐ場合は、複数の交付申請が認められるとのこと。
売り手支援型(Ⅱ型)による株式譲渡で、支配株主が交付申請をする際に、対象会社と共同で申請する形となります。
補助事業期間はいつからいつまで?
「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」の補助事業期間は、交付決定日~2021年12月31日まで。
どんなものが補助対象経費になるの?
「専門家活用型」では、士業専門家の活用に係る費用(仲介手数料、デューデリジェンス費用(買収に伴うリスク調査)、企業概要書作成費用など)や 経営資源を譲渡した事業者の廃業費用が補助されます。
【Ⅰ型 買い手支援型】
謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料【Ⅱ型 売り手支援型】
謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、
(廃業費)廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費
詳細については「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」公式サイト内「補助対象となる経費」を確認してくださいね。
必ず必要となる「相見積」
また価格の妥当性を証明するために、相見積が必要となることもお忘れなく。「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」においても、2者以上の相見積の取得が原則必須となっています。
しかしM&Aについては情報の機密性などの事情から、相見積ができないケースもあるため、条件によってはなくても申請は可能です。相見積が用意できない場合は、以下の条件に当てはまるかどうか確認してください。
<条件1>補助対象経費として、選定先以外の 2 者以上に見積を依頼したが、全ての専門家・業者から見積を作成できないと断られた
<条件2>FA・仲介費用として、専門家費用がレーマン表により算出された金額以下
<条件3>システム利用料として、M&Aのマッチングサイトに複数登録して、成功報酬だけを申請する
<条件4>FA・M&A 仲介費用として、2021 年 9 月 17 日前に FA・M&A 仲介業者と専任条項がある委任契約を締結し、補助事業期間中に締結した基本合意または最終契約に基づく中間報酬または成功報酬
条件の詳細は「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」公式サイト内「補助対象となる経費」を確認してくださいね。
「令和3年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」申請スケジュール
公募は9月末から始まっており、10月3週目には締め切られてしまいます。申請準備中の方は間に合うようにラストスパートです。
【公募期間】
2021年9月30日(木)~10月21日(木)18:00
申請はjGrantsより事前準備
・補助対象事業の確認
・gBizIDプライムの取得
・認定経営革新等支援機関へ相談(※経営革新)交付申請
・交付決定通知:2021年11月中旬(予定)事業実施
・交付決定日〜最長 2021年12月31日まで事業完了後
・実績報告:2022年1月中旬(予定)まで
・補助金交付:2022年3月下旬(予定)補助金交付後
・事業化状況の報告等(※経営革新)
まとめ~利用は限定的だが高い採択率となるか?
いかがでしたでしょうか。令和3年度当初予算の「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」について、令和2年分からの変更点および概要とポイントについて解説しました。
「令和2年度「事業承継・引継ぎ補助金」(専門家活用型)」と比較すると、利用できる機会が限定的な今回の公募。申請件数自体は減るかもしれませんが、高い採択率は維持される可能性も期待されます。
「後継者難倒産」をこれ以上増やさないために、補助金をしっかり活用して未来につながる事業承継を目指しましょう!
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