コラム Column

2024年03月26日

非上場株式の相続評価に係る評価基本通達総則6項の適用は不可と判決

東京都地裁令和6年1月18日判決にて、非上場株式の相続評価に係る評価基本通達総則6項の適用は不可との判決が出ました。

 

大まかな流れは以下の通りです。

・平成26年1月16日   M&Aの協議を開始

・平成26年5月      基本合意を締結(1株を約10万円とする。ただし、法的に拘束されるものではない)

・平成26年6月2日~6日 デューデリジェンスを実施

・平成26年6月11日   株主に相続発生

・平成26年7月 8日   遺産分割協議が終了

・平成26年7月14日   相続人が株主となり、M&Aが成立(1株を約10万円とする。)

・平成27年2月      相続税申告を行う(財産評価基本通達に沿って、大会社として類似業種比準価額を採用。1株を約8千円と評価)

・平成30年4月      仙台国税局長から国税庁長官に対して、財産評価基本通達に基づき、第三者機関による鑑定評価額が適当である旨を上申

・平成30年8月      国税庁長官の指示価額により更正処分等の実施

・その後、相続人がこの処分を不服として提訴に及んだ事例となっています。

 

評価基本通達総則6項と言えば、令和4年4月19日の最高裁判決が印象的です。その際には、不動産の評価額が論点となりました。スケジュールとしても相続税申告期限の前に対象となる資産を売却して、換金している点も共通しています。そして、評価額と時価との差額の乖離が大きい点も共通しています。

その際に示された「評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情」があるかという判断の枠組みに沿った検討が行われ、租税回避行為が目的であったか否かという点が重要なポイントとなっています。

詳細については割愛しますが、結論は冒頭に述べたような結果となっており、令和4年4月19日に示された判断の枠組みを理解する上で参考となる判決となっております。

 

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