2024年10月01日
パリ五輪とヘビィメタル、フランス革命を学ぶ
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メダルラッシュに湧いた日本選手団、なにより開会式の衝撃・・・
「パリ オリンピック2024」は、2024年8月12日に閉幕しました。
IOCのバッハ会長は、「新時代のオリンピック」、「完全な男女平等を実現した最初のオリンピック」だったと評価したそうです。
日本選手団は金メダル20個、銀メダル12個、銅メダル13個、合わせて45個のメダルを獲得。金メダルの数でもメダルの総数でも、海外で開かれた大会での最多数を更新しました。
連日のように気持ちが高揚するニュースが飛び込んできましたが、私自身、スポーツ競技以上に関心を持ったのが、「自由すぎる」「過激すぎる」、様々な評価があった開会式でした。
自由民権の象徴、ヘビィメタルに彩られた、熱狂と大胆不敵のパフォーマンス
セーヌ川で行われた開会式では、ネット上を騒然とさせる演出など、色とりどりのパフォーマンスを見ることができました。
その中、メディアでも話題になりましたが、フランス革命で斬首された王妃マリー・アントワネットと思しき女性が赤い衣装をまとい、手にした生首が歌唱するといったパフォーマンスには、一瞬、目を疑いました。
フランス出身のヘビィメタルバンド GOJIRA(GODZILLAから改名)とスイス出身のソプラノ歌手との共演で、フランス革命時代の曲「Ah! Ça Ira」をメタルにアレンジし、フランス革命を演出した圧巻のパフォーマンスでした。
中学生時代からロックミュージックにはまり、英・米・独のロックバンドには馴染みがありましたが、フランスのヘビィメタルの迫力ある演奏と衝撃的な映像に度肝を抜かれました。
オリンピックの開会式にこのような演出をしたフランスが伝えたかったメッセージとは?マリー・アントワネットに象徴される「フランス革命」とは何だったのか?啓蒙思想が革命の先駆けになったこととは?
すっかり好奇心を刺激され、いまも「フランス革命」にまつわる書籍を読み漁る日々が続いています。
国民主権と資本主義経済の基礎をつくった「フランス革命」
「自由・民権・友愛」を掲げたフランス革命は、「国は王家のもの」から「国は国民のもの」へと原理が切り替わる世界史的大転換期に起きたのですが、その背景には資本主義の勃興がありました。
「フランス革命とは、現在われわれが住んでいる社会、近代市民社会、近代資本主義社会の出発点に位置する革命である。われわれの社会は「国民主権」とか「法の前の平等」とかいった原則に則って運営されているが、こうした現代社会の根本原則はフランス革命によって確立された。」 ~ 『物語 フランス革命』安達正勝著から抜粋 ~
フランス革命によりフランスにおける封建制は廃止。私たちにとって当たり前の所有権を中心とする「財産権」について、自由、安全および圧制への抵抗と並んで自然権として位置づけ,公権力といえども侵すことのできない神聖な権利として、フランス革命の基本原則に記されました(1789年「フランス人権宣言」)。
この革命では、女性たちの働きが非常に大きく、女性たちの協力がなければ革命は成功しなかったと言われてます。また、なにより、革命前はいちばん大事なのは「生まれ=どんな家に生まれたか」でしたが、革命後の社会では「個人の実力」がものを言うようになり、教育が普及していきました。
フランス革命では、民衆が武装化され、ギロチンが初めて使用されるなど、多くの血が流されました。その暗黒面もしっかりと見すえておく必要があります。しかしながら、新しい時代を切り開いた輝かしい革命であったのも事実です。
オリンピック憲章と人権尊重の理念
小学生の頃、この時代を背景にした『レ・ミゼラブル ~ああ無情~ 』(ビクトル・ユーゴー作、児童用図書)を読みました。ストーリーは忘れても、主人公ジャン・バルジャンの名前は、その後も記憶に残りました。
最近では、ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』(2012年作品)が、大ヒットしましたので、ご覧になられた方も多いかと思います。1789年から始まるフランス革命の後、ふたたびフランス王政が復古した時代を舞台にしています。1832年、若者が中心になり蜂起が起きますが、民衆たちの「無関心」により失敗に終わります。
革命シーンで、「民衆の歌」を高らかに歌う若者たちの姿は、何回見ても心が揺さぶられます。激動の時代を生き、散っていった若者たちの姿に胸が熱くなります。