2021年11月16日
令和4年度税制改正大綱の公表間近 相続税贈与税の一体課税の改正が盛り込まれるか大注目!
いよいよ、来月12月に、与党の令和4年度税制改正大綱が、公表されます。
相続税贈与税の一体課税が改正項目となるかが、おおいに注目されます。なぜなら、暦年課税制度による生前贈与ができなくなるかもしれないからです。
この相続税贈与税の一体課税は、昨年の令和3年度税制改正大綱の基本的考え方(検討事項の項目でなく)に記載されました。
すなわち、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する立場から、現行の生前贈与に用いられてきた暦年課税制度と相続時精算課税制度のあり方を見直し、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進めるとしたことです。
このうち、暦年課税制度(相続前3年間の贈与のみ相続財産に加算して相続税を課税)は、生前贈与と相続では税負担が大きく異なり、資産移転の時期に対し中立的ではないと考えられています(政府税制調査会資料)。
また、諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税すること等により、資産の移転のタイミング等に関わらず、税負担が一定となり、
同時に意図的な税負担の回避も防止されるような工夫が講じられているとし、諸外国の制度を参考にするとしていました。
以上から、私見ですが、令和4年度の税制改正大綱に改正項目として盛り込まれる可能性は高いのではないかと推測しています。
改正項目となった場合は、①米国のような一生涯の累積贈与額と相続財産額に対して一体的に課税する方式や②ドイツ・フランスのような一定期間(ドイツ10年、フランス15年)の累積贈与額と相続財産額に対して一体的に課税する方式が改正の参考にされると考えられます。
【 第4回 税制調査会(2020年11月13日)資料】
ただし、税制改正については、過去の暦年課税制度による贈与について遡及することは難しいと考えますので、例えば、令和4年3月31日までの贈与は、
改正の対象から除くというような内容が想定さ れます。
その場合には、その対象外の期間での贈与の検討が必要となりますが、その後は、改正を踏まえた相続・事業承継の検討が重要となります。