コラム Column

2022年12月13日

モンゴル帝国の事業承継

こんにちは、コンサルタントの伏木です。
前回私は大学で歴史を専攻したということで、徳川幕府の事業承継を紹介しましたが、今回はその第二弾としてモンゴル帝国の事業承継を紹介したいと思います。
特に今回はモンゴル帝国初代皇帝(実際はカーン、ハーンと呼ばれていました)のチンギス・カーンから最大版図を実現した第5代皇帝クビライまでを簡単に追っていきたいと思います。年代でいうと、チンギス・カーンが亡くなった1227年からクビライが即位した1264年頃までの約40年間です。

モンゴル帝国の事業承継にあたっては大きなポイントが2つあると思います。その一つが遊牧民の考え方として良く言われる「末子相続」、もう一つが制度として確立された「クリルタイ」です。

まず末子相続という仕組みですが、騎馬遊牧民では部族長の子供たちが成人すると部族員や騎馬を含む家畜を引き連れて順次独立していきます。必然的に相続時に独立していなかった、もしくは留守番を守っていた一番下の男子が残った財産(事業用資産)を引き継ぐという、厳しい環境下で部族を守るためには自然のシステムであったと言えます。
その規模が急速に拡大したモンゴル帝国でも同じで、例えばチンギス・ハーン死後は末子のトゥルイがいったんは本拠地で多くの戦力を引き継ぎました。

しかしながら第二代皇帝となったのは、三男のオゴタイでした。これを実現したシステムこそ2つめのポイントとして挙げた「クリルタイ」です。
クリルタイはモンゴル族の中で昔からあった風習ではあるようで、「血族類縁者の集まり」という意味合いがあります。しかしながらチンギス・ハンが自分の権威付けを行うべく、有力諸部族の首長・重臣たちからなる最高の政治会議として、皇帝候補者の選定と即位を行うシステムとしました。

さて話を元に戻しますと、チンギス・ハーンの4人の息子は(その時長男は既に亡くなっていましたが)比較的仲が良く、末子のトゥルイがいったん「監国」(皇帝代行とかいう意味合いでしょうか)としてこのクリルタイを仕切る役割を与えられましたが、チンギス・ハーンの生前の意向、あるいは実力主義の観点から三男オゴデイが第二代皇帝として選ばれ即位しました。1229年の即位後すぐにオゴデイとトゥルイは協力して中国北部の金朝遠征を成功させたように、実力者である2人の仲が良いことでシステムとして問題が起こらなかったと言えます。

しかしこの仕組みが上手く機能したのはこの1回だけでした。
1241年の第二代皇帝オゴデイ死去以降、第三代、第四代皇帝の選出のクリルタイにおいては、チンギス・ハンの息子四人の系統を中心に後継者争いが起こり、第四代皇帝選出時には関係者の処刑という形で血が流れることとなりました。

トゥルイ家の系統に統一された後も兄弟間の争いが起こり、第五代皇帝選出においては、クリルタイが開催できず、兄で中国方面軍の司令官であったクビライと本拠地を守っていた末弟アリクブケの間で全面戦争が発生。第二代オゴタイ即位時とは正反対と言ってよい事業承継となりました。
戦争に勝利して即位したフビライはその後中国征服を完遂して最大版図を実現することとなります。しかしながら、その後クリルタイを開いて皇帝を選出するということは不可能となり、緩やかな連合国家へと移行していくこととなるわけです。

結局チンギス・ハーンからその孫の代までの間でもこれだけの争いが起こり、事業承継の難しさを歴史的に確認した格好となりましたが、無理矢理現在への教訓めいた点を探すとすれば
①兄弟の仲は非常に難しい。第二代オゴデイへの承継のような上手くいくケースの方がレアで、利害が一致しないことが多い。
②純粋な実力主義による後継者選定は、激動の時代で目標が明確であれば機能しうるものの、組織が大きくなり成熟していくとやはり難しい。
といったところでしょうか。

長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

寒さが増す中、師走でお忙しいところかと存じます。体にはお気をつけていただき、乗り切りましょう!

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