2009年04月07日
非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし
おはようございます(^-^)/国税庁のホームページに「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし
」が公開されています。
かなり分かりやすく説明されています。
事業承継税制を確認したいオーナー経営者にはお勧めです。
事業承継税制は、H20年税制改正大綱で相続税の納税猶予制度が発表されましたが、「使えない」内容でした。
ところが、H21年税制改正大綱により、贈与税の納税猶予制度が突然発表され、この贈与税の納税猶予制度により利用価値が高まりました。
議決権の2/3に達するまでの株式の贈与に係る贈与税は、全額納税猶予されます。
納税猶予された課税の出口は相続です。
贈与株式は、相続時に他の相続財産と合わせて相続税が課税されます。
この相続時の財産評価額が、贈与株式については贈与時の評価額となります。
つまり、低い株価のときに、贈与税納税猶予制度を利用して株式を移動し、相続のときには評価額が上がっていたとしても、贈与時の低い株価で財産評価を行うため大きなメリットが生じます。
逆に、相続時の株価が贈与時よりも下がっていれば、デメリットとなります。
リスクはありますが、上場株式相場の影響を受けて、非上場会社の株価は放っておいても下落しています。
このタイミングを株式の移動のタイミングと見て、新しい税制で株式の移動を検討しているお客様も多くいます。
「特例のあらまし」を見ていて、お客様へのご説明の際に抜けていた事に気が付きました。
相続税納税猶予でも贈与税納税猶予でも、この特例を利用するためには、「納税猶予される税額と利子税に見合う担保を税務署に提供する必要がある」ということです。
事業承継税制のセミナーなどでは、担保提供の担保物は当該非上場会社の株式という説明がなされていた記憶があります。
もし、非上場会社の株式を担保提供するのであれば、株式の発行が必要になると思われます。
これまでは中小零細企業のほとんどが、株券発行会社でありながら、実際には株券を発行していないみなし不発行会社でした。
会社法施行後、株券不発行が原則となり、僕たちのお客様にも機会があるたびに株券不発行会社への移行をお勧めしてきました。
株券発行会社でありながら株券現物を発行していない会社も、株券不発行会社も、この特例を利用するのであれば株券を発行しなければならないのか?という疑問が湧いてきます。
また、株券を担保提供しないのであれば、別の何を担保提供するのかということにも興味がわいてきます。
「特例のあらまし」では、「担保物の提供方法については、税務署にお尋ねください」とあるだけです。
今後の要確認事項です。
ついでに国税庁HPを確認していると、「上場有価証券の評価損に関するQ&A
」もアップされていました。
法人が保有する上場有価証券の評価損計上については、厳しいというか、取扱いが明確でない通達があり、実務上は、有価証券の評価損の法人税法上の損金算入は難しい場合が多かったのですが、取り扱いを明確にするという目的で、Q&Aが公表されています。
このQ&Aによると、必ずしも2年間続けて当該有価証券の時価が簿価の50%以上下落した場合でなければ損金算入が認められないということでばないとされています。
評価損を出しやすくなったという感じもしますが、相変わらずあまり明確ではないような気もします。
上場株式相場が悪化しているため、放っておいても、非上場会社の株価は下がっています。
業績悪化も重なり、さらに株価が下がる可能性が高い非上場会社が増えています。
ついでに、もう少し利益圧縮してさらに株価を下げることを考えている非上場会社も増えています。
利益圧縮の一手段として、含み損を抱える有価証券の処理は多くの非上場会社が考えています。
有価証券の含み損の実現として、税務上の安全策として、売却を最優先で検討している企業が多いようですが、このQ&Aを参考に、評価損の計上を検討してみるのも良いのではないでしょうか。
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