2008年08月06日
REIT指数1300割れ
本日の日経新聞の記事に、「REIT指数1300割れ」という記事がでていました。東証REIT指数はここ3日、連続で下がっているそうです。
REITの資金調達環境が厳しくなり、分配金原資を確保するための物件売却などの動きも相次いでいるとのこと。
記事では、REITの信用力によって投資口の価格の二極化が目立ってきていると指摘しています。
記事で取り上げられている投資口価格騰落率の上位5銘柄は次のとおりです。
1位 アコモF
2位 東急RE
3位 森トラストR
4位 野村オフィス
5位 ビルファンド
記事で取り上げられている投資口価格騰落率の下位5銘柄は次のとおりです。
1位 グリードOR
2位 ニューシティ
3位 ラサールJ
4位 リプラスR
5位 日コマシャル
記事では信用力を示すものとして、格付けを例示しています。
上位5つのREITのうち4つがAAの格付けで、下位5つのREITはすべてAです。
格付けももちろん参考になるのでしょうが、信用力を量るという意味では、配当利回りがたいへん参考になります。
上位5位に入っているREITは、約5年間に亘り、約4%ほどの利回りラインを軸に2%~6%の幅で動いています。
2006年から2007年初頭にかけては、利回りはどれも約2%までさがっています。
昨年の年央より揉み合い、年末から今年にかけて、利回りがあがってきました。
少し売られて、配当利回りが4%を超えてきた直近では割安感が出て、買いが入り、投資口価格が上がったことが読み取れます。
これに対して、下位5位に入っているREITは、比較的運用年数の浅いものが多く、利回りは基本的には4%超のラインで推移しています。
2006年から2007年初頭にかけては、不動産の好況に支えられ、利回りはどれも約4%まで下がっています。全体の好況感にあおられ、買いが入ったものと思われます。でも一番良かった時でも利回りは4%台で、上位5位銘柄と比べると、2%も高い利回りです。
昨年の年央で揉み合う状況は、上位5銘柄と同じ。でも、そのあとが違います。
年末から今年にかけて、利回りは急上昇。直近では約8%~12%の幅で動いています。
割安感を感じて買う人もいるのでしょうが、現状は、更に売られているといった様子です。利回りは高い状況が続きます。
REITの中身は不動産です。
収益物件の不動産の価値は、利回りに現れます。
利回りが低いものほど、不動産としての価値が高いのです。この基本的なことが、最近のREITの配当利回り推移から確認できます。
利回りが高いということは、物件の取得価格が低いということです。
物件の取得価格が低いということは、その物件に何か問題があるということです。
利回りが高い物件は、なんらかのリスクがあるということです。
利回りの高さだけを追求して物件を取得する方は、大きくは次の点に注意が必要です。
①出口(物件売却時)において、物件価値が著しく低下しており、保有期間の収益で補いきれない損がでる可能性がある。
②売却価額が下がるくらいで済めばまだマシで、物件に流通性がなくなってしまっている(買い手がつかない)可能性がある。
③収益額が同額と仮定し、一方がより利回りが高いということは、先に利益が上がることになる。そしてその利益に対して課税が行われるため、より多くの税金を先に負担しなければならなくなる。
④上記③の結果、必要な留保ができず修繕等を実行できない。時間の経過とともに、利回りが下がるが、すでに税金を払ってしまった後で、利回りを上げるための対策を実行するお金はない。
⑤最終的出口で大きな損を出しても、上記③の結果、すでに払った税金は還ってこない。
他の同条件の物件で利回りが高い物件は、何らかのリスクや問題を抱えていると考えたほうが良いでしょう。
また、利回りの高い物件は、税負担が先行するため、将来的には選択肢が限られてくる可能性があると考えるべきでしょう。
東証リート指数