2008年07月04日
平成20年の路線価が発表されました。
7月1日、平成20年の路線価が発表されました。路線価とは、相続税申告のための財産評価に用いられる不動産価格です。
全国の主要都市部とその周辺部について、毎年、国税庁が路線価を付して発表します。
あくまでも相続税評価のための価格ですが、実際の不動産売買においても値決めの参考とされています。
不動産には他に、公示地価や基準地価といった公表価格がありますが、これらは測定地点が少ないため、売買取引でも路線価が参考とされることが多いようです。
路線価は、毎年1月1日現在の評価額が、8月に発表されます。
今年は発表が1ヶ月早まりました。
それでも丸半年のタイムラグがあります。路線価は評価の安定性を図るために、時価の8割とされているということになっています(実際にはもっと乖離がある場所も多くあります)。
都市部では、路線価の上昇が確認できますが、これは昨年と比べてのことです。地価動向としては、半年前の傾向が確認できるだけです。
直近の不動産価格の傾向は「下げ」です。
東京では、新築マンションの1千万円単位での値引きが珍しくなくなってきています。この傾向は約1年前から見られたものですが、ここにきて顕著になっています。
資金繰りに詰まり、倒産するマンションデベロッパーもでてきています。
収益物件は利回りが上がっており、価格下落が容易に確認できます。
2007年に比べると極めて明らかに、また2008年年初あるいは2008年3月くらいと比べても明らかに不動産業界の環境は変わってしまいました。
お金の流れが変わってしまったのです。
不動産業界には、今、ニューマネーが入ってこなくなっています。
銀行も不動産関係の融資を控えています。
物件を仕入れて売って利ザヤを稼いでいた業者は資金調達ができなくなっています。
お金を借りて建物を建てて売っていた業者が、建ててしまった建物が売れずに抱え込んでいます。自社保有となるため、減価償却と金利負担により利益が圧迫されて業績が悪化したり、賃料収入があっても借入金返済は税引後資金が原資となるため、借入返済資金に窮するケースが出てきています。
従来、住宅ローンは貸倒率が低いとされていたため、銀行は積極的に住宅ローンを販売していましたが、その傾向も保守的な流れに変わってきています。
地銀ではこのような傾向はまだ見られないかもしれませんが、同じ変化が訪れるものと予測します。
弊社のお客様の不動産業者、あるいは取引のある不動産業者は、今、環境の激変に対応するため奔走しています。
銀行からつつかれ、保有物件の換金売りに動いています。
1年前は額が大きければ大きい物件ほど動きましたが、いまは額が大きい物件ほど買い手を見つけるのが困難な状況です。
正に今、不動産の潮目は変わってしまったのだと思います。
収益力のある不動産だけがその資産価値を維持する時代に、本当に変わったのだと思います。
本当の不動産二極化時代の始まりのような気がします。