コラム Column

2020年07月28日

コロナ禍の今こそ、保険の活用法を再点検!

東京支店の矢野です。

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、ビジネスの環境は大きく変化しました。「新しい日常」も少しづつですが、身体に馴染みつつあるように思います。

リモートワークでは、ネット会議・オンラインセミナーなど、当初の違和感が解消され、日常化してきました。​

在宅が長くなると、ついネット通販をポチポチ。何かしら宅急便が届く毎日、お取り寄せのご当地ラーメンが台所の隅に山積みになっていました。

完結をむかえ今もヒットを続ける人気の漫画『鬼滅の刃』をポチポチと大人買い、通勤電車から解放された時間を利用し「新しい日常」の楽しみも覚えました。

人との接触をもたないネットを介した生活は、いろいろな場面で、これまでの日常にかなり浸透しつつあるようです。

 

​~ 一気に進むオンライン・セールスの波 ~

第一生命では、一度もお客さまと接触せず、オンラインで保険契約が結べるネットでの販売手法の整備を進めています。日本生命でも、対話アプリのLINEで保険提案、テレビ電話の活用を進めるなど、新型コロナ感染リスクを減らすための営業手法を模索しています。​明治安田生命でも同様の方針に舵をきる動きが出ています。

保険業法等における規制は、主に「対面」の募集行為を対象としており,「対面」を前提とした保険募集ルールが定められてきました。一方、インターネットを通じ「非対面」で契約できる生命保険は、ライフネット生命など専業化した事業形態をとっています。

​しかしながら、コロナショック後は、「対面」「非対面」の融合『ハイブリッド』という新たな販売形態が登場してきました。

ある外資系生保では、これまで「対面」を基本としていましたが、​「対面」と「非対面」を効果的に取り入れる工夫を会社を挙げて積極的に取り組んでいます。ホワイトボードを前にして、サインペンで図と文字を駆使しながら、保険説明をするパソコン画面上のライフプランナーの姿は、TVコマーシャルでしばしば目にする学習塾の講師を彷彿させるものです。他の生保会社では、「非対面は武器になる」と社内向けメッセージを発しています。

​「対面」と「非対面」の融合『ハイブリッド』は、もちろん生命保険業界に限るものではありません。

​野村証券奥田CEOは、新型コロナ後の顧客対応について、「対面と非対面の中間の『ハイブリッド』に移行していこうと思ってきている。しっかりした対面のビジネスを持っていることで、そこをデジタル化していく。コンサルティングやアドバイザーの形での付加価値をつけられればさらに強いことができると考えている」と述べられています。

 

以上、ここまでは、コロナ禍、生命保険会社や証券会社による販売、つまり「入口」の話題でした。世の中に出回るニュースは、ついつい、オンラインやらハイブリッドやら「入口」の話題に偏りがちです。

 

~ 見落としがちな生命保険本来の価値とは? ~

生命保険の本来の価値は、長期の時間の経過、環境の変化の中で実現するものです。「入口」はもちろん、「出口」がとても重要になります。

契約後の保全手続の利便性と活用、保険金等請求と受取時の税務等を通じ、「出口」をむかえてはじめて、保険本来の価値あるいは付加価値が実現します。

個人を契約者とする生命保険に比して、法人を契約者とする生命保険は、「出口」は一つでなく、多岐にわたります(例えば、保険金等請求・解約・減額・払済・名義変更、等々)。税制上もそのような性格を踏まえた課税方法になっており、特に注意が必要です。

また、「出口」に備えた計画、契約の保全手続(法人から個人への名義変更等を含め)、あるいは請求手続を誤ると(失すると)、期待した効果が得られなくなる、といった事態に遭遇します。

コロナ禍、この機会に保険証券をお手元に置き、契約内容をしっかり確認してみてはいかがでしょう。不明な点があれば、保険会社あるいは専門家(ファイナンシャルプランナー・コンサルタント等)などに、保険活用に関する的確な助言を求めること、相談されることをお勧めします。

 

~ 中小企業における保険の活用例をご紹介 ~

1.コンバージョン制度を活用し、「節税保険」解約後の保障をキープ!

一般に、「節税保険」は解約返戻金のピーク時をもって解約を予定している経営者が多いのではないか、と推察します。言うまでもなく、解約すれば、保障はなくなります。コロナ禍、想定外の借入を行った場合など、万一の保障の確保は必要です。「節税保険」解約後、保障の準備は大丈夫でしょうか?

生命保険の解約に際して、健康診断を受けることなく解約時点の保険金額の範囲で、新たな生命保険に加入できる「コンバージョン制度」(変換制度)を、ぜひご検討いただければと思います。保険会社により、コンバージョン(変換)できる年齢の範囲、保険種類等が取扱いが異なります。一度、保険会社に確認してみてはいかがでしょう。

 

2.死亡保険金を年金支払で受け取るメリットと注意点!

以前は、死亡保険金を数年間にわたり分割して受け取っても(年金受取)、全額一括受取りしたものとして見做され「益金」として計上する必要がありました。現在は、国税庁から生命保険協会への連絡に基づき、年金受取りの都度、毎年の「益金」計上すればよいとされています。一定期間、毎年確実な営業外収益が見込まれるため、後継者による事業の継続、経営の安定化を図るうえで有効な機能です。

ただし、ここで重要なことは、あらかじめ「年金支払特約」を付加(特約保険料は不要)しておく必要があるということです。​死亡が発生してからの中途付加は認められません。ぜひ、お手元の保険証券をひろげ、「年金支払特約」が付加されているかご確認ください。特約を付加しても全額一括受取りを選択できますので、その時の状況に合わせ判断いただければけっこうです。

 

3.生前給付金(リビング・ニーズ特約)の法人受取り!

​「リビング・ニーズ特約」とは、被保険者が余命6ヶ月以内と判断されたとき、生存中に被保険者が死亡保険金などの一部を生前給付金として前払で受け取れる特約(特約保険料は不要)です。生前給付金は、被保険者個人(または親族等)が受け取った場合、「非課税」となります。

一方、法人契約の場合、法人が受け取ることができ(この場合、「益金」として計上)、万一に備え、早めの資金手当てができます。なお、「リビング・ニーズ特約」の法人契約の取り扱いは、生命保険会社によって対応が異なるため注意が必要です。一度、ご契約の保険会社に確認いただければと思います。

 

4.「総合福祉団体定期保険」ご存知ですか?

新型コロナウイルス感染症の流行は、従業員の健康と事業運営にとっても重大な脅威になっています。生命保険には、一般に馴染みのある「個人保険」(契約者の個人・法人の別は問いません)の他に、従業員の福利厚生制度のひとつとして利用される「団体保険」という保険制度があります。

法人の役員・従業員の遺族の生活保障を目的とする「総合福祉団体定期保険」(保険期間1年で毎年更新)は、被保険者10名以上で加入ができ、被保険者個々の面倒な加入手続きが必要ありません。また、保険料も「個人保険」と比較しかなり低廉、しかも病気・災害死亡事故等がなければ、保険料の一部が配当金(1年毎)として払い戻されます。コロナ禍、従業員のもしもの時に備えとして検討されてみたらいかがでしょう。​

5.事業の中断、取引先の代金支払債務不履行の備えを!

これまで「事業継続計画」(BCP)の策定がなかなか進んでいない実態がありましたが、コロナ禍は、これまで計画に漏れていた「感染症対応」を含め、計画策定を後押ししているようです。

「事業継続計画」の充実を図る上で、損害保険の分野の検討も欠かせません。「地震保険」に加え、事業中断リスクに備え「利益総合保険」、売掛金貸倒れに備え「取引信用保険」、新型コロナウイルスによるテレワーク拡大にともない「サイバー保険」なども一度、検討されてみてはいかがでしょう。

~ 環境が変化しても、お客さまにとって役立つ賢い保険の活用を ~

​ビジネス世界ではすっかり​馴染みになったビデオ会議ソフト「Zoom」(ズーム)について、サーバー攻撃などセキュリティー対策に課題があることが報じられました。

金融庁は、新型コロナウイルス感染症に関する保険約款の適用等について、保険契約者等保護の観点から、前例にとらわれることなく、柔軟な保険 約款の解釈・適用や商品上の必要な措置を検討するよう、保険業界等に通知しました。

新型​コロナウイルスは、昨今目立つ、地震や風水害、原発事故、海外で言えばテロ事件とはまた異なる、はるかに想像を超える新しい現実を目の当たりに示しました(まさに映画、小説の世界を現実化しました)。「新しい日常」はこれからさらに変化していくかもしれません。

 鬼と人間の戦いを描く『鬼滅の刃』は、新型コロナウイルスの襲来下、さらに幅広い世代の支持を集め続けているそうです。鬼は、人間を襲い、襲われたものは鬼と化します。鬼への“感染”つながりで今のコロナ禍を想起させるのでしょうか?

​「強くなったと思っても鬼はまたさらに強く・・・俺に力を貸してくれるみんなの願いは 想いは一つだけだ 鬼を倒すこと 人の命を守ること 俺はそれに応えなければ!!」​とは、『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎(かまどたんじろう)の言葉です(第113話)。

今も、新型コロナウイルスの感染に収束が見えない中、医療従事者・介護従事者の皆さまが一生懸命に取り組んでいただいています。

コロナ禍の日常であっても、生命保険・損害保険が皆さまの身近にあり、いざという時に、力づよく頼りになる存在であることを切に願ってやみません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 その他のコラム一覧はこちら

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