2021年05月25日
【M&Aに使える優遇税制】中小企業の経営資源の集約化に資する税制(経営資源集約化税制)とは?
こんにちは!
四国は5月15日に梅雨入りし、ジメジメした日が続いております。
梅雨入りは6月に入ってからだと思っていたので、あまりの早さに驚きました。
四国地方は統計史上最も早い梅雨入りだったそうです。梅雨明けも早まることを願っています、、!
さて、前回のコラムで2020年の企業の休廃業・解散件数が過去最多の18年(4万6724件)を大幅に上回る可能性があると書きました。
今年の1月18日に東京商工リサーチが公表した結果によると、2020年に全国で休廃業・解散した企業は、4万9,698件(前年比14.6%増)だったとのことで、2000年に調査を開始以降、最多を記録したそうです。
休廃業・解散件数が増加した一方で、中小企業のM&A実施件数も増加しています。
少し身近になってきたM&Aですが、今回はそんなM&A検討時に思い出していただきたい優遇税制「中小企業の経営資源の集約化に資する税制(経営資源集約化税制)」について書きたいと思います。
経営資源集約化税制の目的
政府はこれまで中小企業の廃業を防ぐために、さまざまな事業承継支援策を行ってきました。
例えば、
・事業承継ネットワークによる、M&Aを含む事業承継の課題の発掘・支援
・各県の事業引継ぎ支援センターにおいて、M&Aに係る相談対応、マッチング支援
・M&Aを含む引継ぎを契機に、経営革新等に挑戦する中小企業の設備投資や販路開拓等を支援
などなど。
2015年度には2つしかなかった事業承継のための取り組みが、2020年度には6つに増えており、政府が中小企業の事業承継促進に力を入れていることがわかります。
その効果もあってか、中小企業のM&Aは近年増加傾向であり、M&Aが少しずつ身近になってきました。
一方で、M&Aが増加するにつれて簿外債務や偶発債務、減損などの課題も顕在化してきています。
このような課題を解決するべく、経営資源集約化税制は令和3年度の税制改正に盛り込まれました。
経営資源集約化税制とは?
経営資源集約化税制とは、経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づくM&Aを実施した場合に、①設備投資減税 ②雇用確保を促す税制 ③準備金の積立を認める措置を創設することです。
①M&Aの効果を高める設備投資減税
M&A後、システムの統合や新たな設備投資などを行う際に投資額の10%を税額控除、又は全額を即時償却するというものです。
尚、資本金3,000万円超の中小企業に関しては、税額控除率が7%になります。
具体的な取組例としては、自社と取得した技術を組み合わせた新製品を製造する設備投資費用や原材料の仕入れ・製品販売に係る共通システムの導入費用などが挙げられます。
②雇用確保を促す税制
M&Aに伴って行われる労働移転等によって、給与等支給総額を対前年比で2.5%以上引き上げた場合、給与等支給総額の増加額の25%を税額控除(1.5%以上の引上げは15%の税額控除)できるというものです。
具体的な取組例としては、取得した販路で更なる販売促進を行うために必要な要員の確保などが挙げられます。
③準備金の積立(リスクの軽減)
買収にかかった投資額の70%以下の金額を5年間の据置期間付の準備金として計上できる制度です。
M&A後のリスクとして、買収後に買収先が粉飾決算を行っており売掛金が回収できなかったり、残業代の未払いによる元社員の訴訟や労務トラブルが発覚したりする場合などがあります。
この準備金の積立は上記のようなリスクに備えるために用意された制度です。
まとめ
経済産業省は、令和3年の通常国会で経営資源集約化税制などの法改正案の提出を目指しています。
後継者不在、新型コロナウイルス感染症の影響、事業転換など、M&Aを選択する理由はさまざまですが、M&Aを行う際にはこの「経営資源集約化税制」を思い出していただけますと幸いです。
詳細な内容はまだ未決定ですが、今後の動向にも注目していきたいと思います。
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。