2023年11月16日
M&Aにおける政府の支援策についてご紹介いたします!
M&A(企業の合併・買収)は、異業種とのシナジー効果や商圏拡大といった目的の他に、社長の高齢化や後継者不在、人材不足を解決し企業を存続させるための手段の一つとして急速に拡大しています。
M&A専門業者の増加や政府の支援もあり、M&A件数は2010年に1,707件でしたが、10年後の2020年には3,730件と倍増しています。
■M&Aで活用できる「中小企業等経営強化法」による措置
中小企業等の多様で活力ある成長発展を後押しする制度として、「中小企業等経営強化法」が平成11年に施行されています。
この法律に基づく支援の中にM&Aにおいて税務面で活用できる措置が整えられています。以下では2つご紹介します。
①設備投資に関する支援
設備投資などの取組を記載した「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業が、新たに設備の取得をした際、対象となる設備の即時償却、又は取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が行えるようになります。A~Dまで類型があり現行制度は令和7年3月31日まで適用できます。M&Aに際しては「経営資源集約化に資する設備(D類型)」の活用を検討できます。M&A後に取得する設備で、M&Aの効果を高めると認められた設備が対象です。税制を受けるために、主務大臣から「経営力向上計画」の認定を受ける必要があります。
②中小企業事業再編投資損失準備金
令和6年3月31日までに、M&Aに係る内容が記載された経営力向上計画の認定を受けた買い手企業が、株式取得によってM&Aを実施する場合に、株式の取得価額や手数料の一定割合の金額を準備金として積み立てることができ、積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できるという制度です。
中小企業のM&Aは近年増加しており身近になりつつありますが、他方でM&A後の簿外債務や偶発債務、減損が発生するといった課題も顕在化しています。M&A後に買い手企業の業績が悪化してしまっては、本来期待されるシナジー効果を十分に享受できません。そこで、M&A実施後に発生する買い手企業の経営リスクを軽減する目的で創設されたのがこの制度です。準備金制度ではM&Aの投資額の最大70%(ただし10億円以下)の金額を準備金として積み立て、全額損金に算入できます。積み立てられた準備金は5年の据え置き期間後に、毎年1/5ずつ均等に取り崩すと同時に益金に算入していきます。損金算入をすることで、その分だけ利益が減ることになり、準備金を積み立てた事業年度には一時的に大きな節税効果が発生することになります。例えばM&Aでの投資額が10億円と仮定すると、積み立てられる準備金は最大で7億円です。この7億円は全額損金算入されるため、法人税率を30%と仮定すると7億円×30%=2.1億円の節税効果が期待できます。
■事業承継・引継ぎ補助金の活用
この補助金は3つの制度がありますが、汎用性の高いと思われる「専門家活用事業」について解説します。M&Aを行う際には専門家に実務を委託することが多いですが、この専門家の経費(着手金、成功報酬など)を補助してくれる制度です。買い手支援型では補助率は2/3以内、売り手支援型では補助率1/2(赤字の場合などは2/3以内)。補助上限額はどちらも600万円以内で、事業の一部廃業を伴う場合は上乗せ150万円となります。注意が必要なのは専門家へのM&A委託費が対象となるためには「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家を活用する必要があることです。登録されたM&A支援機関は、中小M&Aガイドラインを遵守することが求められるため、安心して活用できる専門家であるといえます。当社も登録支援機関となっており、補助金を活用しながらM&Aを進めて行くことが可能です。
M&Aをご検討の際は、お問い合わせいただけますと幸いです。