2017年09月14日
航空機リース事業
航空機リース事業への投資が増えております。8月17日の日経新聞に、三井物産が航空機リース事業への投資額を倍増させる、との記事がございました。その翌日には地銀が航空機融資へ活路を見出す、との記事が掲載されております。
三井物産はこれまでの二倍の航空機を購入して、世界の航空会社にリースする事業を強化する方針で、地銀は航空機を購入する航空会社(または航空機をリースする企業)に対する融資を積極化させる、との事です。背景にあるのは、航空会社、航空機をリースする企業の航空機調達ニーズが高まっている事です。
「一般財団法人日本航空機開発協会」の今後20年間の市場予測レポートによれば、世界のジェット旅客機運航機数は2016年末の21,597機から2036年末には38,866機と二倍近く増加すると見込まれております(米ボーイング社の市場予測では今後20年で4万機以上の航空機が納入される、とあります)。これは今後の世界のGDP成長率2.8%を上回る高成長分野です。
ちなみに本稿での航空機リース事業とは、レバ・オペと言われる小口化された金融商品とは異なり、20-50億円程度の航空機を1機丸ごと購入し(借入も活用)、世界の航空会社へリースする事業です。
航空機リース事業の一般的な利回りは8-10%程度、レバ・オペと言った金融商品と比較すると収益性が格段に高いのが特徴です。航空機リース事業は、物件を購入してテナントに賃貸する不動産投資に似ています。航空機は都市計画や新しい道路計画に影響を受けない「空飛ぶ不動産」と言えるかも知れません。どのビルを購入して(どの航空機を購入して)、どのテナントに貸し出すか(どの航空会社に貸し出すか)、不動産投資も航空機リース事業においても重要なポイントです。
また、不動産と比較して航空機の法定耐用年数は2-8年と非常に短いのも特徴の一つです(新造機で8年、定率法も認められております)。数十億円の航空機を2-8年程度で償却する事から、税務上の損金も巨額になります。リース事業として収益性の高さと税務上の損金が巨額になる、二面性があります。
航空機リース事業は今後20年の高成長が見込まれており、上場企業や銀行に関わらず、多種多様な企業が航空機1機からリース事業を始めております。企業が成長する為の新機軸の一つとして航空機リース事業は注目されております。
そもそも今後20年でなぜ世界の航空機が倍増すると予測されているのでしょうか?
前述した「一般財団法人日本航空機開発協会」のレポートによれば、世界の旅客需要は今後20年で飛躍的に成長します(世界中の数多くの方が飛行機に乗って海外に渡航する様になる)、その成長率は年4.6%と極めて高い水準です。(ちなみに年率4.6%で20年成長すると旅客需要は約2.5倍まで増加します、当然航空機数は今のままでは圧倒的に不足します)。
これ程までに世界の旅客需要が高成長するのはなぜでしょうか?新興国の経済成長が大きな要因です。同レポートに興味深い資料がございます(下図)。
縦軸は「一人あたり年間外国旅行回数」、横軸は「一人あたり名目GDP」です。国の経済成長による一人当たりGDPの増加とその国の国民一人当たりの外国旅行回数には密接な関連性があります。
一人あたり年間外国旅行回数は、先進国ではおよそ1回程度で落ち着いておりますが、新興国においては、その経済成長に合わせて飛躍的に増加しております。
中国もインドもまだまだ成長余力を残しております。世界4位の人口2億6千万人を誇るインドネシアもこれからの発展が期待される新興国です。
世界には今後20年で高成長を遂げる国が数多くあります。世界の中間所得層は10億人の単位で増えていきます。世界にはとてつもない数の消費者が現れるのでしょう。日本のインバウンドも順調に成長して欲しいものです。
今後より多くの人々が航空機を利用して、世界中を飛び回る事が容易に想像出来ます。
日本国内の成長率は低いですが、航空機リース事業を通して世界の成長分野産業に投資する事が出来ます、新しい挑戦、新規事業の候補に、この成長産業を検討してみるのも面白いのではないでしょうか。
航空機リース事業に関するご質問や、ご投資を検討されたい方は、みどり財産コンサルタンツのホームページよりお問い合わせください。
参考
URL:
http://www.midori-zc.co.jp/inquiry/
余談ですが、弊社東京支店の入居する日比谷マリンビルの隣に建築中の三井不動産のビルですが、正式名称が「東京ミッドタウン日比谷」と決まりました。赤坂につづく二ヵ所目のミッドタウンです。2018年3月開業を目指し順調に工事が進んでおります。
皆様、東京ミッドタウン日比谷にお越しの際は、是非とも弊社にもお立ち寄り下さい。
弊社東京支店の窓より、東京ミッドタウン日比谷と日比谷公園を望む。ずっと気になって仕方なかった写真右下の円形の構築物は単なるエレベーターでした。何となくがっかりです。
大谷桂一