2008年10月21日
相続時精算課税制度は誰の陰謀か?
小渕内閣の景気振興策として導入された「相続時精算課税制度」は、親世代から子世代への生前贈与を通じて消費を拡大させ景気浮揚を図る良い税制である。贈与時の贈与税を相続時の相続税に繰り延べる制度である。
現在相続税は亡くなった人の4%程度しか課税されていない。これを
10%程度の人に課税したいとの検討が始まった。
すなわち相続税を増税しようとする動きが始まった。相続時に税制改正され増税となっていれば、結果として、納税者の中には損をする人が発生する。青ざめることになる(笑!)。
したがって、相続税増税が予想され始めた今後の相続時精算課税の適用は、下記の場合等に限定して、しかも、慎重な検討が必要でしょう。
①どうしても多額の資産を生前に贈与したい、節税以外のニーズがある場合。
②自社株が一時的に著しく低くなった時に、生前贈与する。将来大幅に自社株の相続税評価額が上昇すれば、メリットがある。贈与時の評価額で相続税に加算されるからである。
③高利回り収益アパートを低所得の子供に贈与すると、高収益部分の収益を少ない贈与税で生前贈与できたことになる。そのうえ、所得税も節税になる。不動産価格が下がった今こそが、親が収益不動産を購入して子に贈与する絶好のチャンスかも?
④資産が非常に少ない人で、増税になっても、相続税が課税されない人。現実にはこういう人が多いようです。
このような理由で、私は、相続時精算課税制度はたまにしか使わず、他の相続対策を主に使っている。
相続対策コンサルタント
税理士 竹本 正憲