2021年10月26日
【企業型DC】企業型確定拠出年金ってなに?メリット・デメリットを詳しく紹介
確定拠出年金とは、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度です。掛金額(=拠出額)が決められている(=Defined Contribution)ことから、確定拠出年金(DC)と呼ばれています。確定拠出年金の加入者は毎年増加しています。その理由には税制優遇があり、有利に老後資金作りができるからです。
確定拠出年金は、強制加入である公的年金とは違い、加入の可否を自由に選択することが出来る自分用年金です。個人型と企業型があり、個人で加入するものを「iDeCo(イデコ)」、企業が制度を整えて社員等が加入するものを「企業型DC」と呼びます。2002年~2021年の企業型DCの加入者数をみてみると、2002年に8.8万人だった加入者は、2021年3月末時点で746.9万人と増加しており、税制優遇などのメリットが大きい企業型DCを多くの方が選択しています。
【厚生労働省HPより引用】
企業型DCは会社側が選択した金融商品の中から社員が運用先を選択し、毎月の給料から掛金を拠出する仕組みです。拠出額の上限は55,000円となっています。大きなメリットは、掛金は給与所得とはみなされず給与から控除することができるという点です。所得税、住民税は給与に対して計算されますので、給与とされる部分を小さくすることで節税効果を得ることができます。毎月20,000円を拠出した場合を例にとると、年間の掛金は240,000円となり、掛金にかかる所得税と住民税である72,000円が節税できます。次に社会保険料や雇用保険料についてですが、社会保険料等は標準報酬月額を算定基礎としています。標準報酬月額は給与を基に計算されますので、企業版DCで給与とされる部分が小さくなれば標準報酬月額も低くなり、結果として保険料を低く抑えることが出来ます。さらに、企業版DCは運用益に対して非課税となっています。
通常、金融商品を運用する場合、利子や運用益に対して20%が源泉分離課税として徴収されますが企業型DCの運用益に対しては行われません。企業型DCの注意点としては、まず原則として10年以上拠出を行い、年齢が60歳に到達しないと受給出来ないという点があります。加入年数が10年に満たない場合は、支給開始年齢が段階的に先延ばしになります。次に、給与部分が小さくなるので社会保険料等が低く抑えられますが、一方で公的年金や雇用保険の支給額も同様に小さくなるということになります。しかしながら、節税効果などトータルで考えればメリットが大きく上回る制度だといえます。
事業者側にもメリットがあります。メリットの一点目は、企業型DCは社員を全員加入させる必要はなく加入を自由に選択できるという点です。経営者が1人だけで加入するといったことも可能で、自身の節税を行うために役立てることができます。次に、掛金の原資はもともとの給与の減額分を充てることができるので会社として新たな費用負担はなく、会社が給与に上乗せ支給した場合も全額会社の経費(福利厚生費)となるため導入しやすい福利厚生制度となっていることです。例えば、都市部の大企業に勤めている転職希望者が、企業型DCに加入していた場合、転職先に制度がなければ、個人型のiDeCoへ加入手続きを行う必要があり、運用の諸費用も自己負担になるなどのデメリットが発生します。しかし企業型DC制度がある企業であれば、移管の手続きを行うことで新たな費用も発生せず年金を継続することができるため、制度の有無は企業選びの判断材料となります。このように、企業版DCの導入は福利厚生の充実や人材確保の戦略として検討することができます。
弊社では企業版DC導入のお手伝いを行っておりますので、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。