2023年05月18日
18歳からの資産形成について考える。
成人年齢の引き下げ
2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられ、自らの意志で金融商品の取引ができるようになりました。それを受けて、学習指導要領も改訂され、高校の家庭科では「資産形成」の内容が組み込まれることとなりました。
18歳からは父母の同意が無くても一人で証券会社に口座を開いて投資ができるようになり、信用取引についても同様に一人で取引することができます。選択する商品によってはリスクの高い取引もできるようになるため、若いうちから投資の知識が必要な時代になったといえます。
長期・分散投資でリスクを抑える
資産形成は、長期で積立、分散投資することによってリスクを抑えることができます。一定金額で積立投資を継続するということは、値段が高いときは少なく買い、値段が低いときは多く買えることとなります。このような投資方法を「ドルコスト平均法」といいます。
以下は金融庁がHPで公開している「ドル・コスト平均法」の例です。
毎月1万円ずつ、1年間の間、ある投資信託を購入し続ける場合を想定し、投資信託は以下のグラフのような値動きをしたものと仮定します。
1月時点の単価が1口10円だった場合、1万円で1,000口購入できることになります。他方で、最も値が下がって1口2円になった9月時点では、同じ1万円で5,000口購入できることになります。1年間経った時点での投資総額は、1万円/月×12ヶ月ですので、12万円、購入した投資信託の総口数は27,123口になっています。
●12月末時点の投資信託の価額:5円/口×27,123口(総投資口数)=13万5,615円
●12月末時点の投資総額:1万円/月×12ヶ月=12万円
●損益:13万5,615円-12万円=1万5,615円(利益)
仮に12月の時点で投資を止めた場合、12月時点での1口当たりの価額は5円ですので、この時点で保有している投資信託の価額は、5円/口×27,123口で13万5,615円になり、投資総額の12万円と比較すると、1万5,615円の利益が出ていることが分かります。
上のグラフを見ると、最初に投資信託を購入し始めたときよりも、投資を止めたときの方が、1口当たりの価額は下がっていますが、計算してみると、結果的には利益が出ていたということになります。これは、投資の時間(時期)を分散したことで、1口当たりの投資価額が平準化され、高い値段の時に投資した分の値下がりが、低い値段のときに投資した分の値上がり分でカバーされた結果ということができます。(金融庁HP「投資の基本」より引用)
つみたてNISAをうまく利用する
まずは無理のない金額で、リスクの低いものから始めることが大切です。大きなお金を投資して、日々値動きが気になっていては学業がおろそかになってしまいます。現在では月100円から投資信託の積立ができるネット証券もあります。
積立投資を行うのであれば、つみたてNISAの活用を検討しましょう。つみたてNISAは2023年1月から18歳から利用できるようになっています。つみたてNISAを活用することで分配金や、売却時の譲渡益が非課税となります。また、長期の資産形成を目的とした制度であるため、初心者でも取り組みやすい、リスクの比較的低い商品がラインナップされています。
少子高齢化による人口減少によって年金制度が不安視されている中で、個人が投資運用を行い、資産を増やして老後に備える重要性は増してきているといえます。しかし、投資運用の結果はあくまでも自己責任です。投資の知識を習得することで、自分で納得できる投資運用を行うことが出来るようになると思います。
我が国では、つみたてNISAをはじめ、税制面等が優遇された投資を後押しする制度を整備しています。是非それらの制度を有効活用して、リスクの低い運用を行っていただければ幸いです。