さて、私たちの公的年金、将来どうなるのでしょうか?
そもそも政府が目指す年金給付の水準は、現役世代(男性平均)の手取り収入に対して50%以上です(所得代替率)。
目標を達成して初めて手取り50%を確保できる、と言うものです。
2024年度のモデルケースでの所得代替率は61.2%です(現役世代の手取り収入の平均37万円/月に対して、夫婦での年金受給額は22.6万円/月)。
前述の通り政府が目指す将来の所得代替率は50%です。つまり現在の所得代替率は確実に維持できない前提です(50%で老後の生活が安泰かどうかは別の論点としてありますが)。
この所得代替率は、今後の日本経済の成長率次第で変動します、また、現在検討されている様々な施策によっても変動します。
7月4日の日経新聞の記事を参考にしたいと思います。
記事によれば
「今回の財政検証は4つの経済シナリオを基に、将来もらえる年金額がどう変わるかを示した。中長期の経済成長率別に①高成長ケース②成長ケース③横ばいケース④マイナス成長ケース――の4種類がある。このうち②成長ケースと③横ばいケースで各世代が受け取るモデル年金の額をグラフにまとめた。」
とあり、年齢別に将来の年金給付額が自動算出される様になっております。
まず、日本経済の実質成長率が1.1%を前提とした「成長ケース」を見ました。
今年49歳になる私は50歳のモデルケースのボタンをクリックすると、ポンっと年金額が算出されます。
私の年金額は65歳から24.7万円となりました。
次に実質成長率を▲0.1%とした「横ばいケース」、このケースでは50歳モデルケースで21.7万円となります。
ちなみに、私の住宅ローンの返済完了年齢は80歳、、、確実に年金収入だけでは生活は破綻します、、、
すみません、論点がズレました。
所得代替率に戻ります。想定ケースによる所得代替率は、「成長ケース」で57.6%、「横ばいケース」で50.4%になります。
もし「マイナス成長ケース」となれば33%~37%との事です。
いずれにしても将来は公的年金だけでの生活は厳しいものと考えられます。
同記事には改革案(オプション試算)もまとめられております。
①厚生年金の適用対象を拡大した場合
そもそも2024年10月より従業員51人以上、週20時間以上等の適用対象拡大措置が実施されますが、将来的には更に拡大していく案です。
②基礎年金の加入期間延長
基礎年金の拠出期間を現在の59歳から64歳まで延長する案です。
③マクロ経済スライドの調整期間の一致
ずれた基礎年金と報酬比例部分の調整機関を一致させる案です。
④収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度の見直し
働く年金受給者の給付が増加する案です(しかし将来世代の給付水準は低下する)。
⑤高所得者が払う保険料の上限引き上げ
標準報酬月額の上限を現在の65万円から98万円まで引き上げる案です。
※ご参考
改革案は基本的に年金保険料を上昇されるものです。事実上の増税案と言えます。
そもそも論として年金を含む社会保障給付費は社会保険料で賄えておらず、一般会計(および一般財源)から巨額の税金が投入されているのは周知の事実です。
2022年度の社会保障給付費は約131.1兆円、それに対する保険料収入は74.1兆円、不足する57兆円のうち52兆円(うち国37.7兆円)は税金で賄っているのが現状です。
令和5年度の国の税収は4年連続して過去最高を更新し72兆円(一般会計)を超えました。
そのうち社会保障費は約38兆円です。税収の半分以上は社会保障給付費です。
今後も年金保険料を含む社会保険料の負担増は避けられないのではないでしょうか。
それでも所得代替率の低下は避けられません。
公的年金制度の将来性は分かりませんが、自助努力は不可欠なのだと思います。
企業としても従業員の資産形成を支援する事が可能です。
現在は、小規模な企業でも企業年金を整備する事が可能となっております。
弊社ではいわゆる3階建てと言われる企業年金として、確定拠出型年金と確定給付型年金を導入しております。
弊社で導入した企業年金は、誰でもやりたい人だけ加入が可能で、確定拠出型年金と確定給付型年金の両方に加入する事も可能です(もちろんどちらか一方を選択しても、どちらにも加入しなくても良いのです)。
私もiDeCoで運用していた確定拠出型年金を弊社の企業型に移換しました(企業型の方がはるかにメリットが大きいため)。
公的年金の財政検証結果が公表されましたので、本コラムでは企業年金制度にも触れておきました。
もし、企業年金制度の導入にご興味ございましたら、弊社コンサルタントへお声がけください。