2018年01月13日
【法人保険 / 保険税制】生命保険の契約者変更の履歴が残ります
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2018年1月11日の日経新聞に「ベネズエラ経済、泥沼に 年間インフレ率2600%超」という記事が掲載されていました。
記事によれば、ベネズエラでは経済混迷が深まっており、2017年の消費者物価指数の上昇率(インフレ率)は2600%に達したそうです。
モノ不足が深刻になり、物価の急激な上昇が続いているそうです。
2600%は凄すぎるのですが、日本も少しずつ物価が上がり始めています。
第二次安倍内閣成立後の消費者物価指数の推移を見ると、財・サービスの総合的な物価では2013年度0.9%、2014年度2.9%、2015年度0.2%、2016年度ー0.1%、平均すると0.98%の物価上昇です。
食料品の物価では、2013年度0.8%、2014年度4.4%、2015年度2.6%、2016年度1.4%、平均すると2.3%の上昇です。
2013年の物価を100とすると、2016年度の財・サービスの総合的な物価は103.0、食料品の物価は108.6になっています。
イオンはプライベートブランドの値下げを発表しましたが、物流コストが上がり始めた今、今後は多くのモノやサービスの値が少しずつ上がっていく可能性があります。
インフレが継続的に進んでいくとお金の価値が下がります。
政府は年率2.0%の物価上昇を目標にしています。実現すれば、今の1千万円は、10年後には820万円、20年後には672万円、30年後には552万円に価値が目減りしてしまいます。
ベネズエラのようなことは起こらないことを祈りつつ、インフレに負けないようにお金にも働いてもらう必要があります。
iDeCoやNISA、つみたてNISAなど税優遇の環境も整ってきました。
税の優遇制度も利用しながら積立投資を実践したいですね。
さて、平成27年度税制改正で平成30年1月1日以後に生命保険契約の契約者の変更が行われた場合に、保険会社に対して支払調書の提出を義務付ける規定が設けられました。
これまでは、1回の支払金額が100万円を超える生命保険金や解約返戻金が支払われる場合に、保険会社から税務署に支払調書が提出されていました。年間20万円以上の年金等が支払われる場合にも支払調書が提出されていました。
平成30年1月1日以後は、これまでの基準に加えて、「死亡による契約者の変更」の場合も支払調書が発行されることになりました。また、解約返戻金相当額が100万円以下の場合も支払調書が提出されることになりました。
支払調書に記載される内容も変わります。
これまでは、
- 受取人の氏名、住所、個人番号
- 契約者(保険料支払人)の氏名、住所、個人番号
- 被保険者の氏名、住所
- 保険金額(解約返戻金相当額)
- 既払込保険料(総額)
- 保険事故発生年月日
が記載されていました。
これに追加して、平成30年1月1日以降は、
- 支払時の契約者の直前の契約者の氏名、住所
- 契約者変更の回数(平成30年1月1日以降の契約者変更の回数)
- 支払時の契約者の既払込保険料(平成30年1月1日をまたぐ契約者については記載不要)
- 死亡した契約者の氏名、住所、死亡日
- 新契約者の氏名、住所
- 解約返戻金相当額
- 既払込保険料(総額)
- 死亡した契約者の既払込保険料
が記載されます。
本改正は、平成30年1月1日以降に契約者の変更が生じる場合について適用されます。
これまでは、契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人でない場合で契約者が死亡した時は、解約返戻金相当額が相続財産として相続税の課税対象となりますが、支払調書が提出されるわけではなかったので、税務署がこれを把握できないことがありました。
また、契約者名義を変更した後に死亡保険金、満期保険金、解約返戻金等を受け取った場合、変更前の契約者が支払った保険料に対応する受取金は贈与税の課税対象となりますが、支払調書は保険金等の支払時点での契約内容で作成されるため、契約途中で名義変更があったことを税務署が把握できないことがありました。
本改正により、生命保険契約の名義変更前と後で誰がどれだけ保険料を負担したかが明らかになります。
法人から退職金の一部として個人が引き継いだ生命保険契約についても保険料負担額が明確になります。
今後の生命保険契約の名義変更情報は捕捉されるという前提で、生命保険契約の活用を検討していきたいものです。