2017年02月23日
相続税の申告は慎重に判断を…
おはようございます(^O^)/本日の日経新聞東京・首都圏経済面に「ふるさと納税 23区、17年度207億円減収見込み」という記事が掲載されています。
記事によれば、「ふるさと納税」による東京23区の税収の減収額が2017年度には207億円に達する見込みなのだとか。
ふるさと納税は、自治体が用意する返礼品が魅力です。豪華な返戻品を用意する自治体が増え、優遇枠の拡大や手続きの簡素化で利用者が急増しているのだそうです。
都区部は返戻品競争から距離を置くケースが多く、そもそも特産品がありません。
ふるさと納税の元々の主旨は、生まれ故郷や愛着のある自治体に寄付するという制度であるため、東京23区が対象になりにくいということもあるのでしょう。
記事によれば、ふるさと納税で税収が減ると国が減収分の75%を地方交付税で補填する仕組みがあるそうですが、23区は交付税を受けないため、減収の影響がそのまま出るそうです。
短期的には大きな問題にはならないかも知れませんが、中長期的には生活インフラえの影響が懸念されます。
ふるさと納税は、個人が活用できる数少ない節税対策ですが、行き過ぎるとなんらんかの見直しが必要なのかも知れませんね。
さて、昨日の日経新聞に「相続税、誤解していませんか 軽減特例も申告してこそ」という記事が掲載されていました。
よくまとまった記事です。
2015年(平成27年)に相続税は改正され、基礎控除額が4割削減されました。この影響により、相続税の課税対象になる相続人が増加しています。
一方で、相続税法には、いくつかの軽減特例が定められています。
例えば、生命保険金や死亡保険金は、1相続人当たり500万円まで非課税です。
土地は、小規模宅地の評価減があり、利用形態により最大80%の評価減を利用することができます(面積制限あり)。
あるいは、配偶者が財産を相続する場合には、法定相続分または1億6千万円のいずれか大きい金額までは相続税が課税されないという配偶者の税額軽減が設けられています。
しかし、この小規模宅地の評価減や配偶者の税額軽減は、相続税申告が適用要件になっています。
相続財産を評価してみて相続税申告は必要ないと思い込み、後の相続税の税務調査で相続申告の必要があったことが判明した場合、優遇措置を適用することはできません。
2015年の相続税改正はかなりインパクトがあります。
現役世代の夫と妻、未成年の子ども1人という一般的な家庭を想定します。
夫の財産は自宅用不動産2,000万円のみで借金は無しと仮定。夫が亡くなり、保険金5,000万円を得たと仮定します。相続財産は7,000万円です。
2014年末までであれば、基礎控除額は、5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円になり、相続税の申告の必要はありませんでした。
2015年1月1日以降は、基礎控除額は、3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。
保険金は、500万円×3人=1,500万円が非課税財産になります。残り3,500万円が課税対象です。
自宅用不動産2,000万円のうち、土地が1,000万円だったとすると、小規模宅地の評価減で800万円が圧縮できて、自宅用不動産は1,200万円になります。
課税対象の保険金と自宅用不動産を足して4,700万円です。基礎控除額の4,200万円を超えるため、相続税申告が必要です。
相続税申告をして、相続財産を妻がすべて相続すれば、相続税は1円もかかりません。
でも、相続税申告をしなければ、自宅用不動産に適用した小規模宅地の評価減も配偶者の税額軽減も使えません。
普通の家族で自分たちが相続税の申告が必要かもしれないと意識している人がどの程度いるでしょうか。
大衆化した相続税対策には注意が必要です。
安易に相続税申告の必要性を判断すべきではありません。できれば、専門家に相談をしてみたいものですね。