2010年01月14日
JAL経営破たんの影響は???
こんにちは!!遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。
年明け早々暗い話題ですが、JALが会社更生法を適用することとなりました。
JALの経営状態は前々から不安視されていましたが、ついにという感じです。
大会社の破たんだけに大きな影響があります。個人にもです。
株式が無価値になります。昨日の終値は7円でした。
マイレージは守られるようですが、使いにくくなるという噂も…。
株主優待券は金券ショップで価格が暴落しているようです。
そしてそして、意外と中小零細企業にとっても影響が大きいのをご存知でしょうか。
「レバレッジドリース」や「オペレーティングリース」の存在です。
いわゆる「レバレッジドリース」や「オペレーティングリース」は、中小零細企業が任意組合や匿名組合に投資して、飛行機や船などを購入し、その物件をリースする仕組みです。
投資家である中小企業は、リース期間の前半に飛行機や船の主に減価償却から生じる損失を自社の損益計算書に計上することができます。
この費用計上により自社の事業による利益を圧縮することができます。
逆に、この物件の借主、例えばJALは低コストで機体調達をすることができます。
借主(例えばJAL)の経営状態に問題がないときは意識されませんが、この「レバレッジドリース」も「オペレーティングリース」も「事業」であり、「事業リスク」が存在するということに注意が必要です。
今回、JALが経営破たんすれば、この「事業リスク」が顕在化することになります。
つまり投資家側は、債権者になるのですが、この債権回収ができるかという問題が生じます。
そしてこれは、レバレッジドリースやオペレーティングリースという事業に対する出資金相当額が回収できるかという問題です。
本日の日経新聞一面に、「取引先債権を保護」という見出しの記事が掲載されています。
この記事では、「日航は国内外の運航継続を最優先するため、燃料や機体のリースといった取引先の債権を全額保護する」と報じられています。
レバレッジドリースやオペレーティングリースの投資家からみれば、機体のリース債権を保有していることになりますが、どうやらこのリース債権は保護されそうです。
ほっと胸をなでおろしたくなるところですが、おそらくこの「リース債権」とは、リース期間中に支払われる予定のリース料のことと思われます。
レバレッジドリースやオペレーティングリースは、リース期間の満了時に機体を売却して事業を終了する仕組みになっています。機体の売却先は、基本的には物件の借主です。例えばJALです。
JALはレバレッジドリースやオペレーティングリースの仕組みを利用して調達している機体を、リース満了時に買い取るのかという疑問が生じます。
JAL再建案を見ていると、機体の削減や、効率を上げるために機体種類の統一化を進めようという計画が確認できます。
機体数を削減するということは、日航が利用する機体の絶対数が減るということですので、将来的にレバレッジドリースやオペレーティングリースのリース期間満了時に買い取りを実行されない機体がでてくる可能性があります。
また、機体種類を統一するために、当初多少の損失が出たとしても機体の買い替えを進めるという話も聞こえてきます。これもリース期間満了時に買い取り実行されない機体が出てくる可能性がでてくる要因と考えられます。
リース債権は保護されても、投資家にとっての危機が去ったということではないようです。
レバレッジドリースやオペレーティングリースという仕組みが世の中に供給され始めてから、国内航空会社の経営破たんは初めてのことです。
どのような措置が講じられるのか、興味が尽きませんね。