2009年11月26日
家を買う時は、こんな贈与が使えます…。
こんにちは(^-^)/年末が近づき、税制改正が気になる時期になってきました。
最近、お客様からよく聞かれるのは、「住宅取得(増改築含む)のための贈与」の税制改正についてです。
10月に一報が報じられていましたが、住宅取得資金のための非課税贈与額を2,000万円まで引き上げることが政府税制調査会で検討されています。
11月25日の日経新聞にも経過が報じられていました。本気で検討しているようです。
住宅取得資金のための贈与については、いくつかの制度が並存しています。
そして新たな「2,000万円」枠の案も挙がってきています。
「いったいどうなるのか?」という質問をいただきますが、僕には分かりません。
予測はできませんが、今ある制度を中心に再確認してみましょう。
住宅取得資金の贈与ということで考えると、一つ目は、いわゆる「暦年贈与」があります。
これは、年間110万円の贈与税基礎控除枠が利用できます。
110万円の贈与までは、贈与税非課税です。110万円を超えると、超えた部分に贈与税が課税されます。
「贈与税は負担が重い」ということと、「もらう側が110万円の控除枠を持っている」ということに注意が必要です。
二つ目は、今年から新たに創設された「住宅取得等資金贈与の500万円非課税措置」があります。
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、住宅取得と増改築のための資金を直系尊属からの贈与により取得した場合には、この2年間を通じて500万円まで贈与税が非課税となります。
積極的に利用したいですね。
この特例は、暦年贈与の110万円基礎控除や住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の3,500万円非課税枠とは別に適用可能です。
三つ目は、前述の「住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の3,500万円非課税枠」です。
通常の相続税精算課税制度の非課税枠は2,500万円までですが、住宅取得等資金については3,500万円まで枠が広がります。また、通常の相続時精算課税は、贈与者である親の年齢が65歳以上に限られますが、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度は親の年齢制限がありません。
相続時精算課税制度なので、相続時に相続財産に持ち戻しされて相続税課税の対象となることに注意が必要です。
この制度を選択できるのは、平成21年12月31日までです。
期間延長はなのでは?と言われています。
四つめは、今検討されている2,000万円の非課税枠です。
新聞報道などによると、この2,000万円の非課税枠は、二つ目に紹介した500万円の非課税枠を拡大するという考え方のようです。期間は2年間といわれています。
この制度により、住宅取得等資金の非課税贈与枠が一気に2,000万円まで拡大するので、三つめにご紹介した「住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の3,500万円非課税枠」制度の期間延長はないのではないかと言われています。
いつ贈与するか、どの制度を利用するか、有利な選択をしたいものです。
ところで、「住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の3,500万円非課税枠」制度の期間延長がなければ、ある裏技が使えなくなります。
相続時精算課税制度を利用したいと思っても、使えない方が多くいます。年齢制限があるのです。
贈与者が65歳以上でなくてはならないため、親の年齢が若く、この相続時精算課税が使えない場合があるのです。
ポイント①
住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の3,500万円非課税枠の内訳は、「住宅取得資金1,000万円」と「通常の相続時精算課税制度の2,500万円非課税枠」です。
ポイント②
住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度は、贈与者の親の年齢制限はありません。
ポイント③
相続時精算課税制度は一度選択すると、相続時精算課税制度を利用した贈与しかできません。住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度も同じです。一度選択すると、相続時精算課税制度を利用した贈与しかできません。
ポイント①②③を利用して、親の年齢制限により通常の相続時精算課税制度を利用できない人が、相続時精算課税制度を利用して贈与することができます。
まず、住宅取得等資金(一定の要件を満たす増改築も可)100万円以上を親から子へ贈与します。住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度を敢えて選択して、この贈与を行います。
住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度利用ですので、親の年齢制限はありません。
受贈者である子は、相続時精算課税制度以外の贈与を受けることができなくなります。結果的に、親が65歳未満でも、親から子へ相続時精算課税制度を利用した贈与ができるようになります。
相続時精算課税制度のメリットは、財産の評価額が贈与時点で固定されることです。
将来値上がりすることが予測される財産であれば、このような裏技を使って贈与を進めていくことも選択肢の一つでしょう。
例えば、自社株式の評価が現在、著しく下がっていて、将来的には必ず値上がりするということであれば、検討してみるのも面白いでしょう。
この裏技を利用できる状態にできるのは、現状では、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度が利用できる平成21年12月31日までです。
税制改正の行方に注目です。