2009年08月26日
退職金だせますか?
こんにちは(^-^)/8月22日土曜日、SRC(有限責任中間法人事業再生支援協会)瀬戸内支部の設立総会に参加してきました。
「中小企業を支援して、正当な報酬を得られる仕組みを構築し、経営改善・事業再生に携わる人材の育成を目指している」そうです。
弁護士、会計士、税理士、中小企業診断士など多くの専門家が参加していました。
懇親会では、阿波踊りの余興もあり、盛り上がっていました。
さて、SRC瀬戸内支部設立からも分かるとおり、企業再生が再び注目されています。多くの企業が金融危機の影響を受け、業況が悪化しているためです。
幸い、僕たちのお客様の多くは、復調の兆しが見えてきているようです。
しかしながら、僕たちのお客様でも、前期あるいは当期は赤字を計上する会社があります。
赤字までいかずとも、大幅な減益となる会社が多くあります。
良い機会(言い方は良くないかもしれませんが…)ですので、退職金(役員退職金)の準備を見直してみることをお勧めしています。
退職金は「利益」と「キャッシュ」がなければ支給することができません。
例えば、オーナー経営者の退職金を支給して赤字になることは許容できても、非同族役員の退職金を支給して赤字になるのは避けたいというニーズがあることがあります。
例えば、「金融機関に決算書を開示しなければならない」、「経営審査の都合上、安定的な利益を確保しなければならない」、あるいは「行政機関の仕事を受注していて赤字決算はまずい」など、とにかく赤字決算は避けたいというニーズがあることがあります。
このようなニーズにお応えするため、僕たちは主に二つの提案をしています。
一つ目は、生命保険やオペレーティングリースを利用した利益の繰り延べです。
単純です。
生命保険やオペレーティングリースを利用して、利益を将来に繰り延べて、退職金の準備をします。
繰り延べた利益を会社に戻したときに、退職金の原資となる利益を確保できます。当然、キャッシュも戻ってきます。
利益とキャッシュの両方を用意することができます。退職金の準備として最適と言えます。
二つ目は、将来的に安定的に利益を計上したいと同時に現在繰越欠損金を抱えているという会社にぴったりです。
これも単純です。
退職引当金を、少しずつ引き当てていくのです。
将来の大きな損失を、毎期に分散して費用化していくことができます。
会計上は利益が平準化されます。
残念なのは、退職引当金繰入額が法人税法上の損金として認められない点です。
繰越欠損金を保有する会社であれば、引当金繰入額の損金性を気にする必要はありません。繰越欠損金を利用して、単年度で退職金支給の影響を受けない準備を進めることができます。
繰越欠損金を保有していない会社でも、割り切ってしまえば、気にする必要はありません。退職引当金を繰り入れたために税額が増えるわけではないのです。
有税で引き当てていけば良いのです。
この方法の注意点は、退職金原資のキャッシュを別に準備する必要があることです。
もう一度言いますが、退職金は「利益」と「キャッシュ」がなければ出せません。
「うちは生命保険で退職金原資を準備しているから大丈夫」という会社がたくさんあります。生命保険契約を確認させてもらうと、キャッシュしか用意できない保険契約であることがよくあります。
その会社は、予定している退職金を支給はできますが、支給すると大きな赤字になります。
「赤字でも良いのですか?」と聞くと、「赤字は困る」と言います。
大きな勘違いをしているのです。
キャッシュが用意できるから大丈夫という考え方は過去のものになりつつあります。経営環境が厳しくなり、退職金を出しても黒字が確保できる財務戦略が必要になってきています。