コラム Column

2018年07月20日

【アメリカ不動産投資】HOA費用とは?資産価値に対する考え方の違い

こんにちは。
7月17日から7月18日にかけて九州へ出張しました。
岡山駅で乗り換えたのですが、駅のなかのコンビニエンスストアの棚の品数が少なく、一列空いてしまっている棚もありました。
大雨災害のため物流に影響が出ていて、商品の補充ができていないのだとか。
まだまだ大きな影響が出ています。
1日も早い復興を願うばかりです。

さて、先週、ロサンゼルスとサンディエゴの不動産視察ツアーに参加してきました。
新しい発見があり、これまでとは違った提案をさせていただくことができそうです。
色々な物件を見て回りましたが、サンディエゴの日本人ガイドさんの話しは大変興味深いものでした。
このガイドさん、実は不動産ライセンスもお持ちの方でした。
なかでも興味深かった話しをいくつかご紹介します。

サンディエゴの人口は、サンディエゴ郡が330万人(2015年)、サンディエゴ市が140万人(2016年)だそうです。
1990年には、サンディエゴ郡が251万人、サンディエゴ市が111万人だったので、急速に人口が増えてきていることが分かります。

人口が増えるところで不動産の価値は上がります。
サンディエゴの不動産利回りを聞いてみると、「エリアによってまったく違うが、サンディエゴ市中心部では2%台」とのこと。かなり上がっていることが利回りから分かります。

1980年代に10万ドルで売買されていた物件が、今は80万ドルになっているのだとか。
右肩上がりのマーケットです。
このようなマーケットをアメリカの人たちは「Healthy」と表現するのだそうです。
物件価格の上昇に賃料上昇がついてきていない感はありますが、今はHealthyなマーケット環境だそうです。

サンディエゴの南にはメキシコとの国境があります。
ガイドさん曰く、自由に(というのは語弊があると思いますが)行き来できるので、不法移民も多いそうです。
サンディエゴのエリアでは、なんと16人に1人が不法移民、全米でも32人に1人が不法移民なのだとか。
そんな不法移民の子どもは、アメリカで生まれればアメリカ国籍です。
不法移民の子どもは英語ができない子も多く、そのような子が多い学校区の学校では授業がスペイン語で行われるそうです。
英語での授業が受けられる学校にくらべ進度が遅くなるそうです。

教育熱心な親は、学校区を選びたくなります。
アメリカの学校はスコアリングされていて、客観的な評価を得ることができます。
良い学区の不動産価格は上昇します。

良いエリアを選んで住宅を購入すると(良いエリアでなくても)、そのエリアのHOA(Home Owner Association)に入らなければなりません。
日本のマンション管理組合、自治会みたいなものです。
そのエリアに住むための細かいルールが決められており、加入すると最初に分厚い書籍のようなルールブックをもらうのだそうです。

我々がお客様にご案内をしている米国不動産物件のシミュレーションにもHOA費用という費用項目があります。
毎月、HOA費用が必要です。
このHOA費用、3ヶ月も滞納するようなことがあれば、HOAが勝手に家を売りに出してしまうこともあるのだそうです。
そのエリアの景観を損なわないように、周囲にふさわしくないような建物に建て替えができないとか、修繕の際に周囲に合わせた塗装しかできないとか細かな規定があるそうです。
そのエリアの共用部(公園やプール)の管理、利用方法についても細かく規定されています。

このような規則は、物件の所有者が自分たちの物件を資産としてとらえており、資産価値を毀損させない、維持する、価値を上げるという発想で物件保全をするためにあります。
勝手なことをして資産価値を下げるような人間には出て行ってもらうという発想です。
自分の住む家も重要な資産、ポートフォリオの一部と考えています。

これは、多くの日本人にはない考え方です。
35年の住宅ローンを組んで自宅を購入して、住宅スゴロクを上がるという人が多くいます。
物件は購入してすぐに価値の劣化が始まりますが、元の借入額は変わらず返済を続けます。固定資産税という毎年のコストは必ず発生します。

一戸建てやマンションの専有部分について、自分たちで修繕積立を行っているという人は少ないでしょう。
10年から15年程度で物件の劣化が目につき始めます。あるいはライフスタイルが変わり、リフォームの必要がでます。
ですが、資金的な問題で、十分な修繕や必要なリフォームができない場合も多くあります。

持ち家は、買ったときはハッピーですが、実体は負債にしかなっていないというケースがよくあります。
そもそもエリア全体で価値を維持する、高めるという発想がほとんどのエリアでありません。

アメリカに行くたびにアメリカ不動産の奥深さを感じます。
不動産は、実物資産としてのポジショニングを確立しています。
それは、自宅不動産をも資産として認識して、その価値を同じエリアの皆で維持、向上していこうとする文化に支えられているような気がします。

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