2018年02月07日
即時償却か税額控除か
中小企業の新規設備投資を後押しする制度の一つに中小企業経営強化税制があります。平成29年4月1日から開始されていますが、多くの方からご相談いただきご支援させて頂いております。
今までは税制適用といえば、即時償却を選択する経営者の方がダントツ多かったです。一年目で投資金額の全額を減価償却とすることが出来るため、資金を早期回収するという点では非常に効果的であったからです。
一方で次年度以降は減価償却費が計上できないため、他の対策を講じていく必要があるという特徴もありました。
そこで、ここにきて税額控除を検討する方も少しずつ増えてきています。税額控除であれば、取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)を適用できます(ただし、法人税額の20%が上限)。また、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことが可能となっています。
先日ソフトウェアに10億円の設備投資を行ったお客様がいらっしゃいました。中小企業の設備投資を後押しする流れの中で、ソフトウェアの投資に関する相談も増えてきている印象を受けています。
ソフトウェアの耐用年数ですが、下記のように非常に短期間になっています。
(1)「複写して販売するための原本」又は「研究開発用のもの」⇒3年
(2)「その他のもの」⇒5年
初年度に即時償却を適用しなくても、比較的短期間で減価償却費を計上することが出来るのです。
今回のお客様であれば、ソフトウェアは自社の業務効率化のために使用するものであるため、5年の耐用年数となります。資本金も3000万円未満であったため、取得価額10%の税額控除も選択することが可能となります。
(1)1年目に10億円の即時償却。2年目以降は減価償却費が0円。
(2)1年目~5年目の毎年2億円の減価償却。更に1年目は1億円の税額控除。
この両方を自社の経営状況に応じて選択適用することが可能となったわけです。最終的な決定は経営判断になるため、どのようになるか分かりませんが、選択肢が増えたことに感謝頂きました。
平成31年3月まで、中小企業経営強化税制は適用できます。設備投資を御検討中の方は是非制度の活用を併せてご検討してみてください。
今回も最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました。
林田晃尚